東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐり、東京第5検察審査会で起訴議決を受けた東京電力の勝俣恒久元会長ら旧経営陣について、検察官役の指定弁護士は29日、業務上過失致死傷罪で、強制起訴した。きっかけとなる告訴をした「福島原発告訴団」の武藤類子さんらは会見を開き、「原発事故から5年が費やされたが、裁判が開かれることに感無量です。責任を取るべき被告人たちに公正な判決が下されることを信じている」と語った。
今回、起訴されたのは、勝俣元会のほか、武藤栄元副社長と武黒一郎フェローの3人。起訴状によると、10メートルもの津波が襲来する恐れがあったにも関わらず、適切な措置を講じなかったため、電源が喪失する過酷事故が発生したと指摘。双葉病院に入院していた患者44人を避難によって死亡させ、13人にけがを負わせたとしている。
告訴団の団長・武藤さんは「原発事故の被害者たちは、本当の意味で救済されていない。放射能の安全神話が再度流布されて、被害者はいないという方向にこの国はしたいのではないか。この裁判できちんと責任を追及される意味は非常に大きい」と期待をこめた。また、告訴団の代理人の河合弘之弁護士は「原子力村が手抜きをして、国民の安全を考えていなかったということは、今も考えていないということに繋がる。真相を明らかにすることによって原発再稼動の流れを止めることになる」と述べた。
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福島原発告訴団
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