2013/06/27 - 03:30

東電株主総会駆け足で採決〜運営手法に非難の声

東京電力の株主総会が26日開催され、正午現在約2000人の株主が参加した。国が株式の半数を取得し、事実上、国有化されてからの初めての総会。しかし、今年も非公開での開催となり、メディアは、プレスルームからモニターを視聴する形での取材となった。また、原子力損害賠償支援機構運営委員長だった下河辺和彦会長による時間短縮を狙った議事進行に、株主から抗議の声があがった。
 
会場となったのは、昨年同様、東京渋谷区の代々木体育館。雨が降りしきる中、入り口には「東電の責任を取れ!」と書かれた横断幕が掲げられ、再稼働反対のプラカードを持った市民団体が声を上げた。しかし、株主総会。海外のマスメディアも多数殺到した前回、前々回のような熱気はなく、参加者数も福島第一原子力発電所事故が起きた2011年の9,309人、去年の4,471人に比べると大幅に減り、事故前の2010年の3,342年よりも少なかった。
 

 
下河辺会長は、冒頭挨拶し「福島第一原発事故から2年あまりが経った今も多大なご迷惑をおかけしている。福島の復興こそが再生の原点。世界最高水準の安全確保と競争力の下での安全供給をやりぬくと強調。柏崎刈羽原発の再稼働に意欲を燃やした。
 
これに対し、株主からは、福島第ニ原発及び柏崎刈羽原発の廃炉をはじめ、発送電の分離など、15の株主提案が出された。昨年、東電の株式を取得し、今年初めて株主として株主総会に参加した国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」の関根彩子さんは、定款に、福島第一原発の原子炉を作ったメーカーにも責任を問う条項を加える内容(第12号議案)を提案。
また、大株主の東京都は、経営情報の開示や経営の透明性を確保するよう求めた。
 

株主提供写真
 
更に、1989年から株主として「脱原発」を訴えてきた「脱原発東電株主運動」のメンバーは、福島第2原発および柏崎刈羽原発の廃炉や廃炉部新設など、9つの内容を提案した。メンバーのひとり東井玲さんは、すでに2兆を超える税金を投入しているのだから、形成に関する情報は国の委員会などと同様に、すべてインターネットでライブ中継するべきだと訴えた。
 
今回の株主総会は、会社側の報告の後に株主提案が行われ、その後、まとめて質疑を行う議事となったが、株主からは、この議事進行に批判が殺到。度々、議事運営に関する抗議の声があがったが、議長の下河辺会長は13時30分に質疑を打ち切り、採決を開始。株主提案は全て否決され、わずか3時間半での終了となった。福島原発事故の起きた2011年は6時間9分、昨年は5時間31分かかっていた。参加人数、開催時間とも、福島原発事故以前の水準に戻った格好だ。
 
今まで株主総会に20回以上出席している「脱原発東電株主運動」の木村結さんは、「今までで最悪だった。株主の質問の途中で議長が質問をさえぎり、マイクを切らせたり横暴な進め方だった。時間短縮のための強引な議事運営をした」と批判した。
 

「株主提案の採決の様子」株主提供写真
 
第89回 東京電力株主総会
http://www.tepco.co.jp/ir/soukai/soukai-j.html
平成24年度 東京電力報告書
http://www.tepco.co.jp/ir/soukai/pdf/130606_2-j.pdf
 

 

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