東京五輪開催まであと1年となった24日、2020年大会組織委員会は東京国際フォーラムで記念セレモニーを開催し、準備が順調に進んでいることをアピールした。一方で、華やかな五輪の影で起きている環境問題や労働問題、貧困者の追い出しなどについて、市民らが抗議の声を上げた。
組織委員会は、セレモニーにIOCや自治体関係者、被災3県の小学生など約4000人を招待。安倍晋三首相や森喜朗会長、小池百合子都知事、IOCのトーマス・バッハ会長などが出席し、メダルデザインの発表や、音楽パフォーマンスなどが盛大に行われた。スピーチを行った安倍首相は、「東日本大震災から、復興を成し遂げつつある東北の姿を世界中に発信していきたい」と述べた。
「熱帯林の破壊をやめて!」環境NGO
セレモニーの会場入り口には、環境NGO「レインフォレスト・アクションネットワーク(日本代表部)」のメンバーがバナーを広げて、「ノーモア森林破壊、ノーモア人権侵害」と訴えた。五輪会場である新国立競技場や有明アリーナの木材調達で、インドネシアやマレーシアの熱帯林が破壊されているという。現地調査を行い、昨年11月に組織委員会やJSC、都に通報したが、その後、NGOへの聞き取りは一切行われていない。川上豊幸代表は「問題のある木材も利用可能とした調達基準と、それを許している通報制度を東京五輪のレガシーとすべきではない」と批判した。
「工期近づき、過労自殺など懸念」労働組合
午後5時、新国立競技場前では、建設労働者のための労働組合「東京都連合会」のメンバーら約40人が、「賃金引上げと処遇改善を!」とかかれたバナーを広げた。仕事を終えて、新国立競技場から出てくる労働者に対して声をかけて、塩飴や相談窓口の書かれたティッシュを配った。同団体の宮本書記長は、「これから工期が迫り労働環境が心配だ。過労自殺や、けがなどの労災を危惧している」と話した。
「今すぐ中止だ!東京五輪」新宿デモに230人
夜の新宿には、「NO Olympics Anywhere!」「今すぐ中止だ東京五輪!」という怒号が響いた。呼びかけたのは、2年前から五輪を返上するための勉強会やデモなどを行ってきた「オリンピック災害 おことわり連絡会」。ロサンゼルスやリオ、韓国などの反五輪グループが参加し、約230人がデモ行進を行った。
関連リンク
Rainforest Action Network日本代表部
http://japan.ran.org/
Rainforest Action Networkの声明
「ノーモア森林破壊、ノーモア人権侵害」〜東京五輪開幕まで1年〜
東京都連合会
「オリンピック災害」おことわり連絡会
http://www.2020okotowa.link/
反五輪の会
https://hangorin.tumblr.com/