2011/09/26 - 18:51

NHKの経営計画に関し、意見を提出しました

NHKが募集している次期経営計画に関し、OurPlanetTVが意見を提出しました。意見内容は以下の通りです。

1、東日本大震災を踏まえた放送機能の強化について
東日本大震災を踏まえ、国民の安全・安心を守るための情報を確実にお届けすることができるよう放送機能を強化するとともに、 災害報道の体制強化を行う必要があると考えています。これについて、あなたはどのようにお考えですか?
 
 東日本大震災の初動の報道は、世界から注目を集めた通り、非常に素晴らしい報道だったと思います。しかし、その後の福島第一原発事故に関わる報道は、放射性物質の飛散に関する情報、放射線量に関する情報、被ばく回避の情報や安全性に関する解説など、全てに関して不十分であったと言わざるを得ません。福島在住で、弧度立て中の方々の多くがNHKの報道に対して、不満を抱えています。 そのためにも、情報のソースの幅を広げ、様々な立場の科学者や専門家の意見を紹介するべきであり、同時に、市民の声をきちんと吸い上げる仕組みを整えていただきたいと思います。
自然災害だけでなく、あらゆる不測の事態に対し、人びとが正しい判断ができるよう、的確な情報の提供を期待します。
 
2,放送への取り組みについて
NHKの取材・制作力を結集して、公共放送として公平・公正、多様で質の高い番組を制作すること、地域の活性化や海外への情報発信の強化に努める必要があると考えています。これについて、あなたはどのようにお考えですか?
  
現在のNHKは、決して公平で公正で多様な情報を提供しているとは思いません。1でも記載したとおり、情報ソースが非常に限られており、特に報道番組でその傾向が顕著です。現在の状況を改善し、強化するためには、以下を要望します。
(1)報道番組の情報ソースを記者クラブ以外にも広げ、市民の声もきちんと吸い上げること
(2)様々なプロダクション、フリーランスへの番組作りへの間口を広げるとともに、NHK職員のプロデューサーの関与、権限を低くすること。
(3)地域放送枠を増やすとともに、NHK教育の空き帯域に市民のためのパブリックアクセスチェンネルを創設すること。
(4)国際放送局の番組は、本格的な報道番組を中心とし、無駄な観光番組、情報番組などはやめること。
(5)海外の支局への人員配置を、予算に見合った規模まで充実させ、国内中心の報道を、より国際的にすること。
 
3,インターネットを含めた新たなサービスの充実について
放送と通信の融合時代にふさわしい、インターネットを含めた様々な伝送手段を利用した新たなサービスの充実に取り組む必要があると考えています。これについて、あなたはどのようにお考えですか?
 
インターネットへの参入は賛成だが、有料化については反対である。NHKは、BBCと並ぶ大規模なメディアであるにも関わらず、サービスが非常に低いと感じる。放送された番組は基本的に全てウェブサイトにアーカイブ化し、期間限定でも構わないので、受信料を支払っている視聴者がいつでもオンデマンドで無料視聴できるようにすべきである。
また、BBCコモンズのように、NHKが取材したビデオ素材は、社会的なニュースも含め、受信料を支払っている契約者が、利用できるようにすべきである。
 
4,10%還元への対応について
現在の経営計画では、視聴者のみなさまへの還元策について、「具体的な還元方法はいくつか考えられることから、平成21年度から受信料体系全体の総合的な検討に着手し、最適な方法を決定して、視聴者のみなさまにお示しし、平成24年度から受信料収入の10%の還元を実行します。」としています。これについて、あなたはどのようにお考えですか?
 
かつて、全ての人が地上波で番組を見ていた時代とは異なり、現在では、多くの人が、様々な経路を通じてテレビ番組を視聴しています。このため、受信料は、旧来のように、NHKのみが独占して、利用できるというものではないと考えています。
海外では受信料収入の一部を、市民や独立メディアなどに還元し、メディアの多元性を確保しています。日本でも、メディアの多様性や公共性を確保するため、人びとのコミュニケーションの権利を実現するために利用する費用と捉えるべきではないでしょうか?
従って、受信料の10%は、受信料を値下げするというような安易な方法ではなく、市民にNHK(教育)の一部のインフラを提供するなどしてパブリックアクセスを実施することや、同程度の金額をメディア教育や市民メディアセンターなどに配分するなどして、市民に還元すべきだと思います。
 
5,経営の改革について
業務全般にわたる改革を進め、効率的な経営体制の構築と経費の削減等に努めています。今後さらにこうした方針を推進する必要があると考えています。これについて、あなたはどのようにお考えですか?
 
OurPlanetTVには、NHK内で働いている様々なスタッフ、職員などから様々な情報が寄せられるが、その中に、定年退職の年齢に近い職員の一部に、ほとんどまともに働かず、給与を得ている職員がいるとの疑問の声が少なくない。一日中、パソコンを見ているだけ、ゴルフのスイングの練習をしているなどといった話も聞く。
一方、現場では、派遣社員、契約社員、フリーランス等が大量に働いているが、彼らの仕事は権限が狭く、また社員と非社員との間の格差が非常に大きい。また、ロケで弁当を出さないなど、妙に細かいところでの経費の節減等は行われており、非常にいびつな経営効率化であると言わざるを得ない。
公共放送はもっとも社会に奉仕すべき職場であり、そうした格差を放置するのは問題であり、経営の効率化を図っていく上でも障壁となる。まずは、高い収入を得ている、年配の職員の適正化、効率化を図ることが必要だと考える。
 
6,受信料の公平負担について
公共放送の主たる財源である受信料収入を確保するために、契約・収納活動を強化するとともに、より効率的に行う必要があると考えています。これについて、あなたはどのようにお考えですか?
 
去年来、受信料の不払い者に対して、強制執行の通告等を行うなど、受信料の支払い督促に応じない人に対する態度を強めているが、現状の制度の中で、そのような徴集方法を取ることは違和感がある。テレビが誕生したばかりの時代とは事情が異なるため、受信料のあり方自体を見直さない限り、受信料の契約や収納に関しては、不公平感はなくならないだろう。
なお、将来的には、インターネットや携帯での視聴に対して、受信料を徴集するような案もあるが、これも、受信料の定義を見直さなければあり得ない。
 
7,その他
上記以外にも、NHKの次期経営計画に対してご意見がありましたらお願いします。
 
4でも触れた通り、NHKの教育チャンネル(Eテレ)の帯域6セグメントの電波を市民に開放し、パブリックアクセスチェンネルを創設すべきである。
NHKの最近の放送、とりわけ総合放送は、どの番組も同じような雰囲気の番組が多く、演出手法が極めて画一的である。月に数本程度は優れたドキュメンタリーなどが報道されているが、限定的であり、公共放送に求められるメディアの多様性や多元性といった面で、極めて、不十分である。
総務省の命令ではなく、自発的な決定として、日本におけるアクセス権やコミュニケーションの権利の確立のために、公共放送の一部を拠出すべきである。

NHK次期経営計画案へのご意見募集について
http://www.nhk.or.jp/keikaku/

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