差別的なSNS投稿を繰り返されたとして、在日コリアン男性が投稿者を訴えた裁判で、東京地裁（衣斐瑞穂裁判官）は１８日、ヘイトスピーチ解消法に反する差別的言動にあたるとして、投稿者に請求通り１１０万円の賠償を命じた。
訴えを起こしたのは都内に住む在日コリアン３世で金正則さん（７０）。２０２１年３月から２０２４年１月にかけ、高校時代の同窓生から、SNS上に「在日の金くん」との書き出しで、「君たちの大切な仲間がまた凶悪な犯罪を犯したよ」「お前が責任をとれよ」などの投稿を、１５回にわたって繰り返された。
判決は、このうち９件の投稿について、「内容が悪質であると評価せざるを得ない」と指摘。ヘイトスピーチ解消法に規定する「差別的言動」にあたるとして、投稿者に対し、合計１１０万円の賠償請求を命じた。
原告代理人の神原元弁護士は判決後、「差別的なSNS投稿で１００万円は画期的。抑止力になると思う」「この裁判が、ヘイトスピーチ解消法に命を吹き込む、実効性あるものとして確立してくれた」と高く評価した。原告の金さんは「差別的投稿で１００万円。SNSの書き込みをしている人たちに響いてほしい」と述べた。また、投稿者である同窓生に対しては、「ヘイト投稿をやめて、また肩を組んで酒を飲み交わしたい」「また会えるように願っている」と慮った。
