人種や肌の色などの外見を理由に職務質問が行われたことは違法だとして、海外にルーツを持つ男性3人が国などを相手取り損害賠償を求めている裁判で28日、第5回口頭弁論が東京地裁で行われた。
原告側は、職務質問の実態に関する独自の調査結果を報告。日本の住む20歳から59歳の日本人と外国人およそ950人に、職務質問を受けた経験があるかを尋ねたところ、職務質問を受けた経験のある外国人は、日本人の5.6倍にのぼるとするデータを公表した。
また原告側は、職務質問に関する証言集を証拠として提出。原告側代理人の谷口太規弁護士は、検挙のノルマ達成のために「手当たり次第に外国人に対し職務質問をしていた」という元警察官の証言や、「一緒にいた複数の同級生のなかから、自分だけが職務質問を受けた」など、見た目を理由に職質を受けたという小学6年生の証言を紹介し、「人種差別的な職務質問が存在する」と批判した。
原告側はさらに、人種や肌の色を理由に取り扱いを変える警察官や入管職員の行動について、人種差別に基づく違法なものであると裁判所が認めた海外の判決を示し、職質の実態について具体的な証拠を有する国側が立証責任を負うべきだと主張した。
原告のゼインさんは報告集会で、「(独自調査により)現実の差がよく見えたと思う」と述べ、「今後も社会のために頑張っていきます」と力を込めた。