能登半島地震から1年を前に、奥能登で対話の場づくりを行なっている復興支援団体が23日、輪島市にコインランドリーにカフェを併設したユニークな取り組み「ランドリーカフェ」の立ち上げを発表した。
プロジェクトを発案したのは、能登地域で復興支援活動を行ってきた一般社団法人「NOTOTO.」と地元住民ら。日本海に面した能登半島では、冬場に湿度が高く洗濯物が乾きにくい。輪島市で支援活動をするなかで、被災した住民がコインランドリーを求めていることを実感。そのコインランドリーにカフェを併設することで、多様な人が関わることのできる地域の交流の場を作ろうと計画した。
「NOTOTO.」共同代表で、長年、LGBTや障碍者などが交流できる場づくりに取り組んできた金沢出身の松中権さんは、「能登半島は素晴らしい場所ですが、一方で、男尊女卑といった伝統が残り、周縁化されている人も多い」と指摘。「ランドリーカフェ」での交流をテコに「多様性を復興の柱にしていきたい」と抱負を語った。また、「働く場所がないということ自体が住民の方々にとって大きな課題」として、健常者だけでなく多様な人々に雇用の場を作りっていきたいと語った。
発案者のひとりでもある輪島市門前町・総持寺通り共同組合の副理事五十嵐義憲さんは、「洗濯をするのもよし。その後に集まっておしゃべりをするのもよし。」人との付き合いもできる場所として発展して欲しいと、「ランドリーカフェ」への期待を述べた。
また輪島市櫛比の庄「禅の里交流館」管理人の宮下杏里さんは、「ランドリーカフェ」を第一弾として、民宿などにも活動を広げ、復興が遅れている奥能登や珠洲への中継点となることも視野に入れたいと力を込めた。能登半島地震から1年となる1月1日(水)18時から、1000万円を目標にクラウドファンディングを展開する予定だ。来年の冬までに開業を目指す。