東京都練馬区の大泉ジャンクション(JCT)と東名高速道路をつなぐ東京外環道の地下トンネル工事をめぐり、トンネルの上に住む住民らが事業の違法性を訴えている裁判の第24回口頭弁論が10日、東京地裁で行われた。
原告側の弁護士が法廷でプレゼンし、昨年11月に発生した東名JCTの出入り口(Hランプ)のシールド工事で、テールシールと呼ばれる止水機器が損傷した問題を批判。重要な事故につながる可能性がありながら、住民への説明が不十分でだった点や、再発防止対策が示されていないことを指摘した。また、2020年に調布市の住宅街で起きた陥没事故に伴い実施されている地盤の補修工事についても、工事の影響で、近辺の川から気泡が発生するなどの現象が生じているとして、工事の中止を求めた。
また、自宅のすぐ近くでトンネル工事が予定されている原告が意見陳述し、同じ工法の工事で事故が相次いでいることを挙げ、「住民は悩まされ、苦しんで、疲れ果てて、諦めなければならないのでしょうか。」と涙ながらに訴えた。
原告代理人の遠藤憲一弁護士は期日後の報告集会で、原告が専門家の意見書などを提出し続けている一方、ここ数回の期日で、国からの反論が出ていないことを報告。調布の陥没事故を受けて国が設置した有識者委員会が、2021年に取りまとめた「再発防止対策」の報告書をもって「裁判所は勝てせてくれると思っているのだろう」と分析した上で、原告側は、「その再発防止対策がいかに欺瞞に満ちたものであるか、ひとつひとつ暴露していく必要がある」と抱負を述べた。次回期日は来年4月22日。