東京出入国在留管理局の収容施設内で、イタリア人男性が自ら命を絶ってからちょうど2年となった18日、難民支援を行う学生らが中心となり、収容施設で同じことが再び繰り返さないよう法務省に申し入れを行った。その後、法務省前で追悼集会を行い、集まった20人ほどがキャンドルを持ち、男性の死を悼んだ。
2年前に入管施設で自死したのは、15年以上日本で生活してきたイタリア出身の男性ルカさん。2020年に在留資格を失い、仮放免の状態となり、多摩川の橋下で路上生活を続けていた。地域の住民がルカさんの存在に気づき、支援を始めたが、22年10月、突然、東京出入国在留管理局に収容され、その24日後、ルカさんは自ら命を絶った。入管はイタリア当局からの情報提供で、男性が精神疾患を患っていることを把握していたが、精神科医を受診させなかった。
「精神疾患のある人は収容しないで」精神保健福祉士
難民支援を行っている団体「BOND」は18日、出入国在留管理局長官宛に申入書を提出。入管局は、ルカさんに対しどのような配慮を行ったのかや、死亡に至るまでの経緯を公表するよう求めた。また申し入れ後には、法務省前で追悼集会を行い、木枯らしの吹く中、手にキャンドルを持ち、静かにルカさんの死を悼んだ。
難民をめぐる訴訟を多く担当する指宿昭一弁護士は「ウシュマさんの事件があったのに、また犠牲者を出してしまった」と入管局を批判。「このままでは、第2、第3のルカさんのような事件が起こりかねない」と訴えた。BONDメンバーで精神保健福祉士の杉山聖子さんは「精神的にケアが必要だと分かった時点で収容を解く対応が必要だった」と指摘。「精神疾患のある方たちについては収容しないでください」と訴えた。
入管施設に収容された経験のあるミャンマー人のミョーチョーチョーさんは、精神的、身体的に苦しかった収容生活を振り返りながら、人の命に関わる入管の運用について、涙ながらに「変わってください」と訴えた。入管収容施設内では2007年以降、病気や自殺などで18人が死亡している。