同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、同性のカップル7人が国を訴えた裁判の控訴審で、東京高裁は30日、 「法の下の平等」を保障した憲法14条1項と、個人の尊厳に立脚した婚姻・家族の立法を求める憲法24条2項に反するとして、「違憲」とする判決を下した。同性カップルに、配偶者としての法的な身分規定が設けられていないのは、差別的な取り扱いだと認めた。 損害賠償は認めなかった。
この日、裁判所に集まったのは、同性カップルの当事者や支援者160人ほど。大阪や福岡の原告らも駆けつけた。10時に開廷した法廷。谷口園恵裁判長の口から「違憲」という言葉が出ると、訴えを起こした一人、小野春さんは目を晴らし、涙が頬を濡らした。一審で「違憲状態」という判決が言い渡されてから2年、待ちに待った瞬間だった。判決後、支援者らと目を腫らしながら喜びを分ち合うと、興奮冷めやらぬなか、報道陣の前に笑顔で姿を現し、「婚姻の平等へさらに前進!」と書かれた横断幕を掲げた。
小野さんは判決後の記者会見で、これまで法廷で自分が話してきたことが裁判長に伝わっているか不安だったと明かしたうえで、「判決文にしっかりと、受け止めている、という趣旨のことが書かれていて、届いていたんだなと感じました。」と噛み締めた。また小川葉子さんは、「裁判長の口から、違憲状態ではなく、はっきりと違憲という言葉が出てきた。生きていてよかった。」「これからは立法に向けて、なんとか一歩でも早く進んでほしい。」と期待を込めた。
全国の5つの地裁で6件起こされた「同性婚」訴訟で、高裁判決は2件目。初の高裁判決だった札幌高裁は3月、規定は「違憲」と判断していた。
判決後の記者会見