リニア中央新幹線をめぐり、予定地周辺の住民らが工事の認可取消しを求めている裁判の控訴審が、長引く可能性が出てきた。工事の影響で水源が枯渇した岐阜県内で、さらに地盤沈下が起きており、裁判中に、さらに状況が悪化する可能性があることを裁判所が認識したため。
前回の期日で、リニア新幹線の工事で岐阜県瑞浪市の水源が枯渇した問題を主張し、JR東海の事前調査の不足を指摘した住民弁護団。この地域で今年8月、さらに地盤沈下が起きていることが判明したことを受け、さらに状況が悪化する可能性を指摘。このことを取り上げたいと申し出たところ、裁判所はこれを認め、次回期日までに準備できるものは全て出すよう求めた。
原告団長の川村晃生さんは裁判後の報告集会で、岐阜県で起きている水源枯渇や地盤沈下について、「裁判官もかなり重要視している」と述べ、一審を覆す可能性が出てきたと期待を寄せた。また弁護団事務局長の横山聡弁護士は、285キロにわたる地域の環境影響評価をわずか3年で終わらせたことを厳しく批判。裁判所が、裁判を継続している間にも、事態が悪化する可能性を認めたことを評価した。次回は1月23日に裁判が開かれる。