東京電力福島第一原発事故後に福島県で行われている「県民健康調査」の検討委員会が8月2日、福島市内で開かれ、6巡目の検査結果が新たに発表された。この結果、新たに8人が甲状腺がんの疑いと診断され、がん登録で把握された2018年までの集計外の患者43人をあわせると、事故当時、福島県内に居住していた子どもの甲状腺がんは、術後に良性だった一人を除き380人となった。
今回の検討委員会で公表されたのは、5巡目、6巡目と25歳と30歳の節目検査の結果。新たに発表された6巡目の検査では、穿刺細胞診で悪性と診断された患者が6人いることが発表された。このほか、5巡目で1人、30歳の節目検診で一人増えた。
また手術を終えて、甲状腺がんと確定した患者も5巡目で6人、25歳と30歳の節目検診でそれぞれ1人ずつ増え、術後のがんと確定した患者は283人となった。事故から10年が経過し、2年ごとの検診対象者数も受診者数も増える一方、がんと診断される人数は横ばいで、新型コロナ感染症の影響で、3年間にわたって検査が実施された 5巡目は、穿刺細胞診の結果も、術後のがん患者数も、ハーベスト効果が観察される可能性の高い1巡目を上回った。
検討委員会では、これまでの経過がわかる説明を求める声や2年間になぜ新たながんが増えているのかと言った質問が相次いだ。このほか、基本調査やこころの健康度と生活習慣に関する調査の結果が公表された。