東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた若者らが東京電力に損害賠償を求めた「311子ども甲状腺がん裁判」の第10回口頭弁論が6月12日、東京地方裁判所で開かれた。
前回の期日前から、順次提出する予定だった原告一人ひとりの陳述書と精神科医による意見書。その提出が再び留保となった。理由は、原告本人が法廷でこの主張の内容を説明することを求めていたが、裁判所が認めなかったことに端を発している。
弁護団によると、原告側は、口頭弁論に先駆けて開かれた進行協議において、原告の弁論を認めない裁判所の対応は法律に反すると指摘。原告本人による陳述を認めない理由を、公開の法廷で説明するよう裁判所に求めたところ、裁判所は態度を軟化させ、書面内容から逸脱しないことを前提に、次回期日以降、原告による陳述を認める可能性を示したという。こうしたことから、弁護団は原告の個別の書面提出を次回に延期したという。次回の期日で原告による陳述を行なっていきたい考えだ。
原告側は今回、UNSCEAR(国連科学委員会)を批判する書面4つを提出。一方、東電は反論の書面1つを提出した。裁判所の方針で、原告は次回の期日で、因果関係などに関する主張は全て出し切る予定だという。なお、原告の一人が提訴を取り下げ、原告は6人となった。