「相談しても解決できない」「相手にうまく伝えられない」
困窮する若者12、000人のアンケートで、社会で孤立しながらも、なかなか相談できない現状が浮かび上がった。
調査を行ったのは、困窮している若者の支援などを行っているNPO法人「D×P」を中心に、若者を支援しているNPOなど計7団体が協力して実施した。アンケートを実施したのは去年10月から今年2月にかけての4ヶ月。その間に、食料支援やシェアハウスの提供、妊娠葛藤相談などの支援を受けた若者12、765人に対しアンケート調査を行い、約2割に当たる2、347人が回答した。アンケートは、2022年に内閣府が行った「こども・若者の意識と生活に関する調査」と同じ設問を採用した。
アンケートの結果、誰にも相談したくない理由を問う質問に対し、「相談しても解決しない」(80%)「相手にうまく(困りごとを)伝えられない」(63%)など、若者がうまく相談機関などにつながれない実情が浮かび上がった。また、どのような条件が整えば相談したいかとの問いについては、「無料」が53%、次いで「相談員も同じ悩みを抱えたことがある」が42%、「匿名」が41%と続いた。
「若者に有効なのはWEB広告」〜調査団体
支援団体のひとつで妊娠相談支援など行うNPO法人ピッコラーレの佐藤紀子さんは団体のホームページについて、ウェブ広告などデジタルアウトリーチを活用した期間は、そうでない期間に比べ4.7倍のアクセス数があり、「相談窓口の情報を受け取って、正しい知識につながるきっかけとなり、相談者に安心をもたらすことができた」とウェブ広告やSNS活用の効果を報告した。
NPO法人「D×P」の今井紀明さんは、社会で孤立や生活苦に苦しむ若者らに対し国や自治体は「デジタルアウトリーチ(ウェブ広告など)ができているとは言い切れない」と指摘。デジタルアウトリーチの活用による効果と必要性を広げていきたいと述べた。