原子力規制委員会は22日、原発事故時に被曝低減策として、「屋内退避」の具体的な運用を議論する検討チームを発足させ、初会合を開いた。
国の原子力災害対策指針では、原発で重大な事故が起きた際、原発から半径5キロ圏内の住民は直ちに避難する一方、5キロから30キロ圏内の住民は自宅などに屋内退避することが原則とされている。しかし、今年1月1日に起きた能登半島地震では、志賀原発に近い地域でも、多くの住宅が倒壊するなどしたことから、原発の立地する自治体からは、「屋内退避」の実効性に対する不安の声があがっていた。これを受け、原子力規制委員会は、「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム」の設置を決定。22日に初会合を開いた。
前提となる放射線放出量は、福島事故の数万の1程度か
国の原子力災害対策指針では、新規制基準によってフィルターベントなどの対策が進んだことから、重大事故が起きても、セシウム137の放出量は100テラベクレル相当に止まると想定されている。これは、セシウム137が10ペタベクレル(1万テレベクレル)放出された福島原発事故に比べると、1万分の1に過ぎない。
今回の検討チームでは、新たにミュレーションを行った上で、屋内退避をする範囲や開時期などの具体的な運用を検討するが、想定されるモデルでは、放出される放射線量はこれよりもさらに低くなると見られる。5月から夏にかけて、被曝に関するシミュレーションを実施すると同時に、屋内退避の期間や解除の検討に着手し、夏以降、屋内退避を行う地域などを検討。年度内には方針をまとめたい考えだ。パブリックコメントなどの実施については、まだ決まっていない。