肌の色などの見た目を理由に頻繁に職務質問を行うのは人種差別だとして、日本で生活する外国出身の男性3人が国などを訴えた裁判の第一回口頭弁論が15日、開かれた。原告側は憲法違反にあたるとして、損害賠償を求めている。
人種や肌の色を理由に捜査対象を選別する行為は「レイシャル プロファイリング」と呼ばれる。大学生になって以降、頻繁に職務質問を受けるようになったという、パキスタン出身で、13歳で日本国籍を取得した原告の星恵土(セイエド)ゼインさんは、早歩きをしていただけで警察官に壁に押さえつけられ、在留カードを見せるよう職務質問を受けた経験を法廷で陳述。日本国籍なため、「在留カードは持っていない」と答えたところ、「何で持っていないの」「なかったら、きみを逮捕しなければいけないよ」と言われたとして、「海外にルーツを持つ人に対する偏見が警察内に蔓延しているではないか」と警察を批判した。
原告代理人の谷口太規弁護士は期日後の会見で、争点は、「(警察が)外国人の見た目であるということに基づく職務質問をしているのかどうか」「それが何らかの合理性を持つのかどうか」の2点と指摘。アフリカ系アメリカ人で、永住資格を持ち、日本に10年間近く居住しているモーリス・シェルトンさんは、「不正義に直面をしながら、戦わないという選択肢はありません」と裁判を起こした理由を語ると、もう一人の原告のゼインさんは「互いを支え合う社会を作り上げるための第一歩になれば」と裁判の意義を語った。国側は争う姿勢を示している。