スポーツ業界から、国内の性的少数者の差別解消を目指す研修会が２０日、日本オリンピックミュージアムで行われ、現役アスリートや元日本代表アスリートなどスポーツ業界関係者が参加した。
研修会の名称は「アライアスリート育成プロジェウト」。「アライ（ally）」とは、同盟者や味方といった意味を持つ言葉で、性的少数者（LGBT）の人たちと同じ立場で支える理解者として、海外では定着している。この「LGBT アライ」の存在を、スポーツの世界で広げていこうというのが、プロジェクトの狙いだ。
講師の成城大学社会イノベーション学部教授の山本敦久さんは「スポーツ業界はこれまで非常に保守的だった」と述べたうえで、昨年の男子サッカーワールドカップでヨーロッパの強豪チームがLGBTQ+に連帯の意思を示す腕章を付けるアクションを起こした事例を紹介。「この１０年で社会的に安全な立ち位置にない人の代弁をするアスリートが出現した」とアスリートによる人権獲得運動が活発になっていることを解説した。
企画をしたプライドハウス東京共同代表で元サッカー選手の野口亜弥さんは「アスリートによるソーシャルアクションがグローバルに広がるなか、日本のLGBTQ+をめぐる課題についてアスリートと一緒に向き合っていきたい」と意図を説明した。研修の受講者でアテネ五輪、北京五輪金メダリストの谷本歩実さんは研修を経て「知らないことが沢山あった」と述べたうえで、「１５０年変わらなかった歴史が急激に変わろうとしている」「わたしにできる役割として、（LGBTQをめぐる実情）を受け止め、アスリートのみんなと一緒に学びを深めたい」と話した。
