東京電力福島第一原発事故後に福島県で行われている「県民健康調査」の検討委員会が7月20日、福島市内で開かれ、新たに14人が甲状腺がんの疑いがあると診断された。これまでに、悪性疑いと診断された子どもは316人となり、がん登録で把握された2018年までの集計外の患者43人をあわせると、事故当時、福島県内に居住していた18歳以下の子どもの甲状腺がんは、術後に良性だった一人を除き358人となった。
新たに公表されたのは5巡目と25歳と30歳の節目健診の結果。穿刺細胞診の結果、悪性と診断された患者は、5巡目で8人(計34人)、25歳と30歳の節目検診でそれぞれ3人ずつ、計14人増えた。また手術をして甲状腺がんと確定した人は5巡目で10人、25歳の節目検診で、30歳の節目検診で1人増え、260人となった。
検査開始から6巡目、12年目に入った甲状腺検査。今回初めて30歳の節目検診の結果が公表されたが、2万2000人の対象者に対して、受診者は1524人と、受診率はわずか6.7%と低調だった。一方、2次検査の対象者は、126人(8.5%)と高い割合を占めた。
サポート事業で把握された集計外は23人
今回の会議では、2022年度の甲状腺検査サポート事業の結果も公表された。甲状腺検査サポート事業は、甲状腺検査を受けて、結節性病変のあった患者に対して、保険診療の医療費を支援する制度で2015年7月に開始された。2015年から昨年度までに実施された支援金の交付件数は788件で、そのうち189人が手術の伴う医療費だった。
また今回初めて、検討委員会で公表されているデータと2020年までの、甲状腺検査サポート事業の対象者と紐付けを行ったデータが公表された。その結果、甲状腺検査で集計外となり、サポート事業のみで把握されている患者は210人だった。
そのうち203人(96.7%)が県民健康調査でB判定となり、うち200人が2次検査を受診しているいわゆる「経過観察」によって集計外となっていた。2次検査の中で穿刺吸引細胞診を実施していたのは、このうち64人(32%)。また、経過観察を経て、最終的に手術を受けたのは32人に達し、病理診断結果では23人が悪性、9人が良性だった。
資料:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-48.html