社会学者の開沼博東京大学大学院情報学環准教授が昨年8月、自身を訴えていた元原告の慶應大学生(当時)と代理人の弁護士、さらに提訴報道をしたOurPlanet-TVの3者を訴えていた裁判で、開沼氏と元原告が和解していたことがわかった。開沼氏は、元原告らが提訴時に配信したプレスリリースや記者会見の内容が、名誉毀損にあたるとして、3者に各500万円の損害賠償を求めていた。
今回、開沼氏と和解したのは、2019年に開沼氏を訴えていた元原告。和解の条件には、「インターネット上で、一方的な言い分が拡散され、その結果、原告の業務や人間関係に多大な被害者が生じたことを認識し、原告に対し謝罪する」ことや、「自らの行為にも落ち度があったこと」を提訴取材を行った記者に報告することなどがあげられている。
開沼氏側は、元原告から訴えられている裁判の勝訴が確定していることを踏まえ、「記者会見により、私の業務や人間関係に影響や被害が生じたことを十分に認識した上で正式な謝罪がなされた」ことなどとして和解に応じたとしている。一方、元原告は裁判所の和解の提案に応じた理由について「学生という身分で裁判を戦い続けることは、経済的、精神的に厳しかった」とした上で、「提訴に至る直前に、開沼氏からの問いかけに応答しなかった」点に落ち度があったとして説明している。
開沼氏は、経済産業省経済産業省汚染水処理対策委員会多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会委員をはじめ、、東京電力福島第一発電所事故に伴って設置された複数の公的委員会で委員などを務めている。
同裁判は昨年8月に提訴され、2度の進行協議を経て、今年5月19日にようやく第一回口頭弁論期日を迎えた。
次回は6月29日11時から東京地裁418号法廷で、代理人弁護士とOurPlanet-TVの残る二者の訴訟が続く。