東京電力福島第一原子力発電所事故後に、甲状腺がん手術を受けた福島県内の男女が、東京電力を訴えている裁判の第6回口頭弁論が14日、東京地裁であった。原告側は、黒川眞一高エネルギー加速器研究機構名誉教授の3通目の意見書を提出。被告側が主張の根拠としている「国連科学委員会(UNSECAR)報告書」の誤りを指摘し、実測値との一致しておらず、科学的にあり得ないシミュレーション結果となっていると指摘。同報告書が信頼に値しないと批判した。
一方、東電側が60ページにのぼる書面を提出。東電は、原告側が90%以上だとしている被曝影響によるがん発症割合(原因確率)について、バイアスがあるなどとして有効ではないとした。また、原告7人が発症したがんについて、被告側が「過剰診断(潜在がん)」であると考えているのか説明を求めていたが、東電側は回答を避けた。原告側は再度、回答するよう法廷で求めた。
裁判後の記者会見で原告の一人は、裁判官の態度を問題視。裁判官が、30分間だった弁護士のプレゼン時間を直前になって20分に短縮したとして、「裁判官の強固な姿勢 態度がとても不快」「被告に寄り添っているような態度」だと不安を口にした。