英国政府がウクライナへ対して劣化ウラン弾の供与を表明している問題で、人権団体やジャーナリストらが12日、 英国大使館に反対する声明を提出した。劣化ウラン兵器は、人体に有害な影響を与える放射線を放出し、化学的毒性も指摘されているとして、供与や使用をしないよう求めた。
英国の劣化ウラン弾供与に反対の声明を読みかけたのは、フォトジャーナリストの豊田直己さんや、チェルノブイリ子ども基金の小寺隆幸さんら6人。劣化ウラン弾は、国連総会でも危険性を訴える決議があがっているなどと指摘した、ジュリア・ロングボトム英国大使宛の声明を大使館に提出した。声明には、原爆や原発事故など、被曝問題に関与している団体や個人を中心に24団体、135人が名を連ねた。
呼びかけ人にひとり小寺さんは、「劣化ウラン弾の問題は世界的には切迫感がない中、原爆投下を受けた日本は、放射能被害に敏感でなければならない」と指摘。「劣化ウラン弾の問題は日本から声をあげていかなければならない」と訴えた。
また、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ナウの副理事長・伊藤和子さんは、「疫学的にも、健康に対する被害は重大」だとした上で、「NGOや被害者から声が上がっているのに、それを無視して配備するのは非常に問題だ」と英国の対応を批判した。
さらに、ジャーナリストの豊田直已さんは、飛行機から撃っても、戦車を貫通する劣化ウラン弾は、「使う側からすると優秀であるため多用される」と解説。「日本は唯一の被爆国でありながら対応が遅れている」「大使館に申し入れする際に、本来であれば総理大臣が一緒に横にいてもよかったはず」と、国内で声を広げたいと強調した。