2020年10月に調布で起きた陥没事故をめぐり、東京外環道訴訟原告団・弁護団は4月3日、東京外環道の工事の全面差止を求めて、最高裁に特別抗告の申立てを行った。
22年2月に東京地裁が東京外環道本線トンネル南側の工事について差止仮処分を決定したのに対し、住民らが本線トンネル北側を含めた全面差止を東京高裁に申し立て、先月、高裁が住民らの申立てを棄却したことを受けたもの。
記者会見で、武内更一弁護士は特別抗告の理由を、気泡シールド工法を用いたトンネル掘削を行えば、事故が起きた調布市の現場に限らず事故は「どこででも起こりうる」と指摘。また、事故を起こした現場は、国とNEXCO中日本が大深度地下使用許可を受けている区域であり、工事を行っていたNEXCO東日本は大深度地下使用許可を受けていない区域であったことを問題視。「工事の危険性以前の問題で、違法な工事である」として、「この点についても、最高裁の判断を求めたい」と述べた。
差止仮処分の区域外である本線トンネル北側区域に住む原告の岡田光生さんは、このまま北側の工事が進み、「もしシールドマシンが住宅街の地下で止まってしまったら、どうしてくれるんだ」と困惑の表情を浮かべた。事故現場の近くに住む原告の丸山重威さんは、「ここで工事を見直さなかったら、見直すチャンスはありませんよ」と指摘した。