東京都練馬区の大泉ジャンクション(JCT)から東名高速道路までのおよそ16キロメートルを地下トンネルで結ぶ東京外かく環状道路事業をめぐり、住民らが事業認可の取消を求めている裁判の第18回口頭弁論が3月8日、東京地裁で行われた。
今回の期日では、調布陥没事故の原因と再発防止対策の実効性に関する国側の主張に対して、原告側の反論が行われた。原告弁護団の武内更一弁護士は法廷で、「調布陥没事故地域は特殊な地盤であり、その先のトンネル掘削地域は地層が5層なので問題ない」とする国の主張に対し、20年6月に新横浜で発生した地下トンネル工事陥没事故を例に、「新横浜のトンネル陥没事故はまさに5層の地層で起きている」と指摘。今後も、5層で陥没事故は起こりうると反論した。
また原告の岡田光生さんが意見陳述で、「事業者は失敗を繰り返し、反省せず、説明もしない。道徳感の欠如」と厳しく批判。「裁判所には、誰のための再発防止なのか、きちんと見極めてほしい」と述べた。
東京外環道工事をめぐっては、20年10月に東京・調布市の住宅街で道路が陥没し、東京地裁が22年2月に、工事の差止処分を下している。しかし工事を行っいるNEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)は今年1月、約30戸の家を解体。地盤補修工事を開始しており、住民は反発している。