東京電力福島第一原発事故によって避難を余儀なくされた避難者の調査のため来日していた国連の特別報告者のセシリア・ヒメネス・ダマリーさんが、9月26日から2週間弱の調査を終え記者会見した。ヒメネスさんは、帰国前にまとめた初期考察として、「避難民は強制避難か自主避難かを問わず全員が国内避難民である」として、支援策などについて区別しないよう求めた。
調査終了報告書の「初期考察まとめ」
1、IDPs(国内避難民)は、強制避難か自主避難かを問わず全員が国内避難民であり、他の日本国民と同等の権利権限を有する。実際に支援や援助を受ける上で、強制避難や自主避難の区別は取り除くべきである。人道的な保護や支援は権利や必要性に基づくべきであり、国際人権法に基づかないステータスを基準にした区別で決めてはならない。
2、日本国政府のより実施されている素晴らしい取り組みは、IDPs及び福島県民の双方の権利に基づいたアプローチを強化するよう改善すべきである。これは福島の復興を包括的かつ地域をベースとするアプローチで対応することを可能にする。このアプローチが復興と再建への社会的統合型アプローチであるためには、避難中のIDPs、すでに帰還しているIDPsおよび現在の福島県民への完全な情報の提供と参加を必要とする。また居住及び居住の回復、土地、財産、健康、暮らしならびに安全に関する地域戦略を含むべきである。
3、継続して避難生活を送るIDPsに関して:避難を継続する人々へは、とくに脆弱な人々には住宅支援と基本支援を、および受け入れ地域との社会統合を念頭においた、基本的な支援を継続するべきである。IDPsの権利履行を保証することは、避難先においても、最終的に帰還を選択した場合においても、社会的結束に大きく寄与すると考える。
ヒメネスさんは、国連人権理事会に任命され、2016年から国内避難民の人権に関する特別報告者を務めている。日本での調査は今回が初。全体報告については、2023年6月の国連人権理事会で報告される予定。