アメリカで同性婚した婚姻カップルであるにもかかわらず、日本での在留資格が認められないのは違法だとして、アメリカ人と日本人のカップルが国を訴えていた裁判の判決が、9月30日にあった。東京地方裁判所は、東京入国管理局が外国人同士の同性婚の配偶者には認められる特定活動在留資格を与えなかったのは「法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に反する」との判断。その上で、定住者在留資格を与えなかったことは違法とまでは言えないとして、原告の請求を退けた。
今後、アメリカ人である原告が特定活動在留資格を申請すれば、認められる見込み。2人は、2018年に定住者在留資格を申請したが、東京入国管理局は許可していなかった。
原告代理人の永野靖弁護士は判決後の記者会見で、裁判所が、特定活動としての在留資格を付与しなかったのは違法と判断したことについて「非常に画期的な判決だ」と評価した。また、同じく原告代理人の松本雅子弁護士は「違法である根拠として、憲法14条の趣旨に反するとまで言及したのは大きな意義だと感じる。」と述べた。
市原義孝裁判長は判決で、「日本人との同性婚の相手方である外国人を、外国人同士の同性婚の配偶者と比較して、本邦における在留上劣位に置くものであり、事柄の性質に即応した合理的な根拠があるとはいえない。」とした上で、2018年の対応について「法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に反するものである」と述べていた。
原告の1人で日本国籍の康平さんは「少し将来が見えるようになってきたのでほっとした気持ちもありますが、まだ在留資格をもらったわけではないですし、今後なにがあるかわからないので、不安な気持ちもあります。」「早く彼が在留資格がもらえることを願っています」と述べた。
また康平さんのパートナーでアメリカ国籍の原告アンドリューさんは「皆さんに理解してほしいのは、これは日本国民である康平さんの権利に関する裁判であるということ」「私の在留資格について焦点が当てられがちだが、日本国民である康平さんが他の日本国民と同じように平等に扱われていないのが大きな問題」と日本の現状を批判。「今回の判決は、同じ境遇の人にとって道を開いた」と歓迎した。
異性同士のカップルであれば、結婚すると配偶者ビザを取得し、日本に在留することができる。また、同性婚したアメリカ国籍同士のカップルの場合も、片方が在留資格を取得すれば、もう片方は特定活動在留資格を得ることができる。一方、アメリカで同性婚をしたカップルであっても、片方が日本国籍の場合には、特定活動在留資格が認められてこなかった。
そのため、永野弁護士のもとには、日本人と外国人の同性カップルから、多数の相談が寄せられていたという。永野弁護士は「この判決を受け、国は、日本人と外国人の同性カップル に特定活動在留資格を出してほしい。」と訴えた。