東京電力福島第1原発事故をめぐり業務上過失致死傷罪で強制起訴され、一審無罪となった東電の元会長勝俣恒久被告ら旧経営陣3人の控訴審第3回公判が6日、東京高裁であり、結審した。判決は12月または来年1月に言い渡される見込み。
「東京電力の罪を明らかにしてください」
この日、梅雨入りした東京。東京高等裁判所には、200人近い傍聴者が詰めかけ、細田啓介裁判長に向けて、シュプレヒコールの声をあげた。昨年11月から、3回目となった高裁の審理。検察官役の指定弁護士が求めた裁判官による現場検証や新たな証人尋問は採用されないまま結審を迎えた。
この日の弁論では、まず被害者遺族が提出した陳述書を指定弁護士が代読。「11年過ぎても何も変わっていない。」「現場を見ずに裁判が結審してしまうのは悔しい」「原発事故のせいで人生が無茶苦茶になりました」と、被害者の思いを読み上げた。
最終弁論で指定弁護士は、「長期評価」の信頼性を認めなかった一審判決について「重大な誤りがある」と主張。一方、弁護側は「一審判決に誤りはなく、控訴は棄却されるべきだ」と述べた。
この後、被害者参加代理人が、原発事故の責任が国にあるかどうかを判断する今月17日の最高裁判決などを踏まえて、弁論を再開するよう要求。細田裁判官は、弁護側と指定弁護士の双方に意見を聞き、判決の結果によっては、対応するとの含みをもたせた。
告訴団団長の武藤類子さんは「現場検証がされなかったり新しい証人尋問が認められなかったということに関しては、審議が尽くされたとは思い難いです」としながらも「最高裁と東電株主代表訴訟の判決を参考にするということであれば新しい局面ができると思うので、そこについては期待したい」と述べた。