ミャンマーの軍事クーデターから、まもなく1年。在日ミャンマー人が、母国の民主化運動を支援するために東京・池袋にひらいた「春の革命レストラン」で9日、“食べて”いまのミャンマーに関心を持ってもらおうというイベントが行われた。この日はミャンマーとインドとの国境で暮らす少数民族チン族の伝統料理が特別に提供され、およそ100人が訪れた。
売上げをすべて民主化運動の支援に
池袋駅から徒歩1分のところに去年6月にオープンした「春の革命レストラン(Spring Revolution Restaurant)」。このレストランでは、クーデターによって生活できなくなった人たちのために、売り上げを現地に寄付する活動を行っている。調理担当以外のスタッフは、すべてボランティアで活動に参加。この日は、ミャンマーの少数民族チン族の伝統料理が用意され、民族衣装に身を包んだ在日チン族らが歌や食文化を紹介しながら母国で続く弾圧の現状について報告した。
ミャンマーの北西部にあるチン州はインドに接する山岳地で、コメなどの作物がほとんど収穫できず、ミャンマーで最も貧しい地域として知られる。ビュッフェ形式で提供された料理には、トウモロコシや粟などをシンプルに塩で煮込んだ料理をはじめ、バナナの葉で蒸し焼きにした餅のデザート、地元で収穫されたコーヒーなど、ミャンマーの人たちもはじめて口にする味が並んだ。
日本の専門学校に通うリアンジェウさん(26) 空爆で全焼したリアンジェウさんの実家
レストランではこの日、およそ10人の在日チン族がボランティアで参加した。チン州はミャンマーの中でも特に国軍による攻撃が激しく続いている地域で、空爆などで大勢の人たちが住む場所を追われ避難民となっている。
東京の専門学校に通うリアンジェウさん(26)の実家も去年9月、国軍の空爆で全焼。住んでいた両親と14歳の弟は、親族の家に身をよせる生活が続いている。専門学校を卒業したあとは、ミャンマーに日本の技術を持ち帰り、ミャンマーと日本の架け橋になるような仕事をしたいと願っていたリアンジェウさんだが、実家の再建のメドがたたず、このまま日本で就職し仕送りをするしかないと嘆く。国連の人道問題調整室(OCHA)のまとめでは、弾圧によって10万人規模の避難民が発生している。
レストランを運営するレーレールインさんは「現在も真の民主化を求めて市民は戦いを続けているが、日本では報道もされなくなり忘れ去られていると感じる。ミャンマーの料理を通じて、少しでも関心を持ってもらえれば」と訴えた。
『Spring Revolution Restaurant (春の革命レストラン)』 https://springrevolutions.com/restaurant/