ミャンマーで2月にクーデターを起こし、全権を握り続けている国軍への抗議が26日、東京の新宿周辺で行われた。在日ミャンマー人などおよそ400人が「ミャンマー国民を苦しめている軍政を許すな」「ミャンマーに真の民主主義を」と声を上げた。
”軍政に屈しない”3本指のサインでアピール
今回の抗議アクションは、世界19か国でミャンマー国軍への抗議活動を展開している「グローバル ミャンマー スプリング レボリューション(GMSR)」の呼びかけによるもので、日本国内では東京、神戸、佐賀の3カ所で同日アピール行動が行われた。
午後1時。気温6度の寒空のもと、東京の新宿中央公園には、カラフルな民族衣装や軍政に対抗する3本指のサインがプリントされた服を着た在日ミャンマー人らが続々と集結。「軍政をゆるすな」「真の民主化を」と書かれたプラカードなどを手に、都庁前を起点に、3キロほど新宿の街を練り歩いた。
「国軍の空爆で、友人はいまも避難をつづけている」
池袋で「春革命レストラン」を経営するレー レー ルインさんは、現在も家族と連絡が取れない日が続き、国軍の空爆が続く地域に住む友人は、避難生活を続けていると訴える。レー レー ルインさんのレストランでは、売り上げのすべてを戦火に追われたミャンマーの人たちに送る支援を続けている。
「日本では忘れられつつあるが、同志のジャーナリストも亡くなっている」
ミャンマーでの取材中に拘束されたジャーナリストの北角裕樹さんは、「日本ではほとんどミャンマーのニュースが報道されず、忘れられつつある」と指摘。一緒にミャンマーで取材した仲間の写真家が拘束されたあと亡くなるなど、今なお拷問、暴力が続いている実態を語った。また、いままで武器を持ったことがない友人たちも”持たざるを得ない”状況になるなど事態はむしろ悪くなっているという。
ミャンマーでは今年2月1日、軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問を拘束して権力を掌握。最大都市ヤンゴンなどで連日、市民らが抗議デモを繰り広げているが、軍はこれを武力で弾圧。今月5日には、デモ隊に軍の兵士が車で突っ込んだ後に発砲、5人が死亡した。ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、軍事クーデター以降、ミャンマー国内では1375人が死亡、これまでに11202人が拘束された。
「日本政府は行動を!」
欧米諸国はクーデターを厳しく批判し、制裁を科しているが、日本政府はクーデターから10か月以上たったいまも「事態の様子をみる」として、静観し続けている。抗議行動に参加したJAM在日ビルマ市民労働組合のミンスイさんは「日本政府は国軍とのパイプがあるのなら、真の民主主義が復活するような行動をしてほしい」「とにかく日本政府が行動するようにプレッシャーをかけ続ける」と日本政府の姿勢を批判した。