【世界のオルタナティブメディア】苦勞網(台湾)
1997年に成立した苦勞網。当初はデータベースとして新聞記事の収集、社会運動団体の活動や声明を掲示していた。10人ほどのボランティア記者が所属し、毎日4000件を超えるページビューを誇る。現在は誰もが平等に対話できるプラットフォームとして、様々な活動が生まれている。
苦勞網は台湾の社会運動を報道対象としたメディアであり、社会運動団体です。同時に、「提案」と「権利擁護」のためのコミュニケーションを生み出すプラットフォームとして活動するNGO組織でもあります。
苦勞網がはじめて報道したニュースは長距離バス会社のストライキです。続けて国営電信会社の民営化、ダム反対運動など、社会運動のあるところにはいつも苦勞網の記者の姿がありました。90年代末期、政治勢力がマスコミをコントロールしようとしていた中、苦勞網は日々発展するインターネット技術を利用し、人々の力が高まる機会が生まれるよう、新たなツールと新しい世代を動員していきました。
この13年間、苦勞網は社会運動の報道や、社会運動団体のメッセージの発信、関連記事の整理を主なミッションとしてきました。このほかにもコーポレート・ウォッチ、グローバリゼーションや既存の抑圧勢力に抵抗する文化活動など展開していきました。更に、メディアとして、それまでの「公正・客観」という観点に挑戦し、よりマクロで運動側からの観点を打ち立て、メインストリームのマスコミに風穴をあけようとしました。これは「運動のメディア、メディアの運動」という苦勞網の目標の実践と言えます。
今後もインディペンデント・メディアとして、既存の権力者に挑戦する、人々に根ざしたメディアでありたいと思っています。メインストリームな視点だけではなく、より身近な視点を持ち続け、対話の生まれるオープンなメディアでありたいです。これまで苦勞網は、政府の助成や大口の寄付に頼らず、小口のカンパで活動を進めてきました。こうして生まれる独立性を維持していくことも「社会の公器」としての最大の武器だと信じています。(苦勞網創設者 孫窮理/訳:張建元)