小児甲状腺がん
2021/06/21 - 09:24

小児甲状腺がん全数ようやく把握〜2017年末までの6年分

福島県で実施されている甲状腺検査について評価する第17回甲状腺検査評価部会が21日、福島市内で開かれ、全国がん統計をもとに、事故当時18歳以下の甲状腺がん患者の全体像が初めて公表された。2017年12月末までに甲状腺がんと診断された事故当時18歳以下の子どは226人で、がんと診断された子どもの1割を上回る27人が、県のデータには含まれていなかった。

昨年9月までの小児甲状腺がんは少なくとも283人
今回、公表されたのは、2012年1月~17年12月の間に、県民健康調査と全国がん登録によって把握された甲状腺がん症例の集計結果。前回2月の同部会で、福島県のがん統計をもとに、県民健康調査では把握されていなかった患者24人の存在が公表されたが、今回、全国がん統計をもとに新たに3人の甲状腺がん患者がいることが判明した。この3人は、県の甲状腺検査を受けず、県外で甲状腺がんと診断されたとみられる。2018年1月以降、県民健康調査で甲状腺がんと診断された57人を含めると、2020年9月までに甲状腺がんと診断された子どもは283人となった。

3巡目も「被爆の影響とは考えにくい」
部会では甲状腺検査3回目までの解析結果も公表。国連科学委員会(UNSCEAR)の2013年報告書と2020年報告書の推定甲状線吸収線量と、本格検査(検査3回目)までの甲状腺がんとの関係について、「線量効果関係」がなかったとして、被曝との因果関係はないと結論づけた。一方、帝京大学ちば総合医療センターの南谷幹史教授は、解析のもととなっているUNSCEAR2020年報告書の前提が正しいのか質問。また日本人は海藻類を豊富に食べているために被曝線量を二分の一に評価している点について、 野口病院の村上司院長は甲状腺検査の2次検査で計測している尿中ヨウ素などをもとに検証すべきだと指摘した。

このほか、国立がん医療センターの片野田耕太委員は、現在のような地域ごとの比較ではなく、推計した個人線量をもとに、がんになった人と、なっていない人との間に差があるかを調べる「症例対照研究」を進めるべきだとの繰り返し指摘した。

資料:https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-b17.html

Standing Together, Creating the Future.

OurPlanet-TVは非営利の独立メディアです。視聴者の寄付を原動力に取材活動を展開しています。あなたもスポンサーとして、活動に参加してください。継続的に支援いただける方は会員にご登録ください。

※OurPlanet-TVは認定NPO法人です。寄付・会費は税額控除の対象となります。