2015/06/09 - 09:03

「住宅支援なければ生活困窮」全国の自主避難者ら訴え

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う避難者の住宅支援をめぐり、9日、全国の避難当事者らが国会で集会を開き、政府が避難指示をしている区域以外も含めた全ての原発被災者に対し、継続的な住宅無償支援を行うよう声をあげた。会場には、菅元首相などの国会議員も多数、出席し、避難者の実情に耳を傾けた。

集会を呼びかけたのは、東京の避難者でつくる「ひなん生活を守る会」。去る5月17日に、朝日新聞が、2018年3月に、いわゆる自主避難者の住宅支援を打ち切るとの報道を受けて開催した。会場には、北海道、埼玉、神奈川、東京、静岡、京都と、全国に散らばっている自主避難者らが集まり、住宅の無償提供が打ち切られれば生活が困窮すると、厳しい窮状を語った。

「今、打ち切りになればたくさんの生活困窮者を生んでしまいます。」と訴えるのは、福島県伊達市から北海道札幌市に避難している宍戸隆子さん。宍戸さんは、「どれほど苦悩を抱えて福島から避難したか。避難したっていうことは、福島を捨てることではない。福島に心を置いたまま、それでも子どもたちを守りたいから、大切な命を守りたいから避難しているんです。」と、福島に残っている人にも、避難している人にも、きちんとした対策をとってほしいと語った。

会場には、民主党の菅直人元首相や自民党の森雅子議員も顔を出し、現状での住宅支援打ち切りは問題があると述べた。森雅子議員は、自身が消費者担当大臣に就任していた最中にも、自主避難者の住宅支援打ち切りの話が持ち上がったと説明。その時は、避難者に聞き取りをして、延長させた事実を明かした。

また、菅元首相は、首相だった2011年を振り返り、避難基準を決定した経緯を説明。「緩すぎるという批判がある」とした上で、「問題になっている自主避難された人への支援打ち切りは、とんでもないこと。自主的避難だから補償されないとか、そういう区別や差別はありえない。県もしくは現在の政府に対して、無期限で支援を続けるように、私自身も取り組んでいきたい」と述べた。

集会では最後に、住宅の無償提供の長期継続や住宅支援立法の制定などを求めた要望書を採択し、福島県知事と内閣総理大臣に提出する。

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