東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が14日、開催され、2巡目の健診で悪性または悪性疑いと診断された子どもは、前回より2人増え59人となった。また手術をして甲状腺がんと確定したのは、4人増え34人となった。1巡目と2巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが174人。手術を終えた人が136人で、1人をのぞく135人が甲状腺がんと確定した。
配布資料
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-24.h…
気になる男子の甲状腺がん
福島県立医大の大津留晶教授によると、今年6月までに穿刺細胞診を行い、悪性または悪性疑いと診断された子どもは前回より6人増えて57人となった。震災時の年齢は5才から18才で平均は12.7才。男女比は、平成26年が19人:29人、平成27年度は6人:5人で、合計すると男性25人に対し女性34人で、特に平成27年度において、通常の1:7の割合に比べ、男性の比率が極端に高くなっている。
甲状腺がん疑い59人のうち5人以外が前回A判定
2巡目で甲状腺がん疑いと診断された59人のうち、先行調査で精密検査が必要なB判定だったのはわずか5人(8%)。残り28人(47%)はA1判定。26人(44%)がA2判定だった。A2判定だった人のうち、結節のあったのは7人で、残りはのう胞だったという。
腫瘍径は、平成26年度で平均9.2ミリ(5.3ミリ〜17.4ミリ)、27年度は15.6ミリ(5.7ミリ〜35.6ミリ)。26年度の平均腫瘍径は先行検査より小さいものの、27年度は上回った。
先行調査(23年~25年) 本格調査(26年~27年)
手術症例
先行調査(23年~25年)
本格調査(26年~27年)
検査縮小の検討に異論殺到
星座長は検討委員会の開催に先立ち、福島県小児科医会から「検査縮小」の要望が提出されていることを受け、検査の見直しに関して議論をはじめる考えをしていた。しかし、この日の議論では、甲状腺専門医の清水一雄医院をはじめ、清水修二副座長、春日文子委員などから、検査の継続や受診率の向上を求める意見が相次いだ。
委員らは、県が発行している「甲状腺通信」に掲載されている長崎大学の高村昇委員の論文データについて誤解を招くなどと批判。検査の見直しの検討に入る前に、甲状腺評価部会を開催し、本格検査(2巡目)の評価を行うべきだとする意見が出された。しかし、甲状腺評価部会の開催について、星座長から、具体的な開催時期やメンバーについての言及はなされなかった。
記者会見
記者会見では、星座長が、地元紙などのインタビューに答え、「検査縮小」を前提とした検討を始めると受け取られるような発言を行ったことなどへの批判が殺到。座長として資質を問われる質問が相次いだ。情報発信のあり方に大きな問題を抱えたまま、記者会見は1時間で打ち切られた。