選手村の宿泊棟
東京都は27日、東京2020オリンピック・パラリンピック組織委員会に対し、新型コロナウイルスに感染した軽症者を収容する施設として東京五輪・パラリンピックの選手村(東京都中央区)を活用できないか打診したことがわかった。
東京都は「今は課題の洗い出しをしていることろ。これから三者で協議にすすむ。スピード感は大事。」だとの考えを示した。また組織委は「組織委員会は東京都から選手村利用を目的としてお借りしている。」とした上で、今回の隔離施設での仕様は「借りている目的の範囲を超えているため、東京都ひいては特定建築者との協議が必要。」としている。
小池知事は26日に安倍晋三首相と面会した際、感染拡大を防止するために、一時滞在施設の確保への協力を求めていたほか、27日朝のテレビ番組で、「海外からは『あれだけのモノがあるのに、どうして使わないのか』という声も聞いている。大会組織委員会の協力も得られればと思う」と述べていた。
新型コロナウイルス感染症への対応に関する緊急要望(令和2年3月26日)
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/20200326youbou.html
複雑な選手村建設の仕組み
宿泊施設が21棟あり、大会時に1万8千人の選手を受け入れる予定だった選手村。多額な建設費用をゼロにするため、東京都は、大手不動産会社11社と「特定建築者制度」を使った契約を締結。周辺の1割程度の地価で土地を販売する代わりに、選手村を建設してもらい、五輪後は不動産会社がマンションとして販売するスキームとなっている。このため、管理主体はすでに不動産会社だが、不動産会社の土地の支払いと所有権の移転は五輪開催後。一方、今年1月から12月までの五輪期間までは都が42億円で借り受け、選手村利用を目的として、五輪組織委員会に又貸ししている。
東京都と契約を結んでいる「特定建築者」は、三井不動産レジデンシャルや住友不動産など大手不動産会社11社。五輪後に改修される大規模マンション群「晴海フラッグ」は昨夏からすでに販売は始まっており、3年後の2023年3月下旬から入居が始まることになっている。
大会後の街づくりイメージ(c)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業特定建築者