OurPlanet-TVは22日、新型コロナウイルスの陽性反応が確認され、現在、入院中の患者に電話で話を聞いた。強調していたのが、味覚や嗅覚が全くなくなるという点。味覚・嗅覚障害をめぐっては英国の専門家らも報告をしていることから、新型コロナウィルスを判別する症状として注目される。
(C)CDC米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)ホームページより
話を聞いたのは、発熱症状が出てから7日目に入院した50代の患者。現在、隔離病棟におり、部屋から出ることは制限されているが、軽症なため点滴や服薬などは一切なく、食事は普通食だという。
患者は週末に発熱。週明け月曜日に病院で診察を受け、CT検査でウイルス性の肺炎症状が確認されたが、この日はPCR検査は見送られた。このため、自宅療養を続けていたが、2日後に再検査。陽性と診断され、入院に至ったという。
初期症状は発熱、倦怠感、頭が重いなど。鼻水などの風邪症状はなかった。自宅療養していた1週間の体温は37度から38度程度。インフルエンザや通常の風邪とは決定的に異なるのは味覚嗅覚障害。「とくかく味覚と嗅覚がゼロになる。ここがポイント。全ての患者ではないかもしれないけど、味覚・嗅覚が失くなるのが、この病気の傾向だと思います」と話す。患者は快方に向かっているが、まだ味と匂いは感じられないという。患者は3月上旬に欧州から帰国した。
英国の耳鼻咽喉科も報告
味覚と嗅覚の障害をめぐっては、英国の耳鼻咽喉科医会(ENT UK)が21日、嗅覚や味覚の喪失や低下がCovid-19感染の兆候として感染マーカーとなりうるとする解説をホームページに掲載。韓国、中国、イタリアでも多くの感染者が味覚・嗅覚障害を発症しており、ドイツでは3例中2例以上が嗅覚障害を発症していると指摘している。
また無症状の患者でも、味覚・嗅覚障害が出るケースが認められていることから、無症候感染者を特定するスクリーニングツールとして使える可能性があるとしている。さらに無症状でも、嗅覚がなくなった人は7日間、自己隔離することを求めている。
このほか、米プロバスケットボールNBA選手として初めて新型コロナウイルスに感染したジャズのゴベールが22日、嗅覚障害に陥ったとツイッターで公表したのをはじめ、米国の有力紙ニューヨークタイムズや英国のインディペンデントなどでも相次いで、味覚と嗅覚に関する記事を掲載している。日本では、新型コロナウィルス感染に伴う味覚・嗅覚障害の学術的な報告や本格的な報道はないが、検査数が少ない中、無症状患者の行動制限が課題となっているだけに、今後、重要な指標の一つとなる可能性がある。
英国耳鼻咽喉科医会(ENT UK)のサイト
https://www.entuk.org/covid-19