伊達市住民の被曝データを本人の同意なく論文に使っていた「宮崎早野論文問題」。データ提供の経緯を検証している市の調査委員会が7日開かれ、データ提供に関与したとみられる半澤隆広元直轄理事のヒヤリングが実施された。4回目となる同委員会で、関係者のヒヤリングは初めて。
市の調査委員会では、(1)行政事務手続きの問題、(2)個人情報保護条例の観点、(3)伊達市の情報提供の方法と福島県立医科大学の研究計画ついての3つ観点から、検証を進めている。しかし、全容を解明するためには、市が保有する文書だけでは検証は困難だとして、関係者のヒヤリングに踏み切った格好だ。
ヒヤリングに招致された半澤元直轄理事は、福島原発事故後、放射能対策担当者としていちはやく除染に取り組み成果をあげたとして、環境省や原子力委員会などに招聘されてきた人物。過去の議会答弁などから、データ提供の経緯を最も知る立場にあったとされるが、1時間半にわたるヒヤリングで十分な進展はなかったみられる。
半澤氏はヒヤリング終了後、「私はすでに一民間人。4年も前のことなんて覚えていない。ガラスバッチ については担当者でもなく、なぜヒヤリングに呼ばれるか分からない」などと述べた。また調査委員会の委員長を務める駒田晋一弁護士も「少なくとも本日で、当委員会が持っている疑問等を解決することはできなかった」と答え、次回も再び、別の関係者をヒヤリングする意向を示した。次回の委員会は、5月下旬か6月上旬に開催される。
半澤氏が、早野龍五氏にGIS化を依頼したと答弁した2017年9月議会(伊達市議会公式映像)
半澤氏は、2017年の9月議会で、伊達市には(住所情報と線量を地図に落とし込む)GIS化の技術がないため、早野氏に口頭で依頼したなどと答弁。「早野先生にはGIS化する前の生データを渡したのか」との質問に対し、「住所は別に公になっていて(中略)、各住所そのものを全部GIS化と聞いている」と回答するなど、データ提供に関して答弁を担当していた。