国は5日、JR常磐線の全線開通のために、大熊町の帰還困難区域である駅周辺など一部地域の避難指示を解除した。
解除されたのは、東京電力福島第一原発事故より帰還困難区域に指定されていたJR大野駅と周辺の道路、県立大野病院などの約28ヘクタール。また、大野病院近くにある帰還困難区域内の下野上地区と野上地区の特定復興再生拠点区域の規制も緩和された。宿泊は出来ないものの、誰もが自由に許可証なしで立ち入ることが出来る。
駅前の商店や住宅はバリケードのまま
今回の避難指示解除は、JR常磐線が14日に全線開通することに向けたもの。駅や駅につながる道路は通行できるが、駅前の商店や住宅は帰還困難区域のままでバリケードで封鎖されている。バリケードの中の商店や住宅のシャッターや壁は倒壊していた。
大熊町の吉田淳町長は駅前で、「先行的に解除しないと常磐線の開通も見込めない。意義のある解除で、住民は大熊町への思いをはせてくれるのではないか」と述べた。町役場で乗ったタクシーの運転手は、「無理矢理の解除っぽいよね。常磐線の開通はいいけど、大野駅は通過して欲しい。帰還困難区域だし、あまり行きたくないね」と漏らした。