東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県から東京都へ避難している被災者らが9日、住宅支援のあり方を見直し、避難者が長期にわたって安心して暮らせる政策を国に要望した。国は災害救助法による住宅支援しか実施していないため、1年ごとの更新となっている。
今回、国に要望したのは、福島県から東京都へ避難している被災者でつくる「キビタキの会」のメンバーら12人。内閣府、復興庁、国土交通省の担当者と面会し、住宅の支援のあり方を抜本的に見直すよう求めた。現在の住宅支援は、災害救助法に基づき、1年ごとに更新される仕組みだ。2015年度末までの支援について、5月28日に決まったが、翌年以降の見通しはたっていない。メンバーらは、避難先で安定した生活が営めるよう、子ども被災者支援法の基本方針見直しや、新たな立法措置など住宅支援策の充実を求めた。
復興庁の中村崇志参事官補佐は子ども被災者支援法の基本方針見直しについて、「いずれ必要だが今の段階では未定」と回答。また国土交通省住宅局の二瓶朋史氏は、住宅困窮者に対して、「支援できる制度を持っていない。生活保護など利用して欲しい」などと答えた。
交渉に参加した福島県いわき市在住の女性は、2011年に母親と夫と事故当時7ヶ月の子どもの4人で東京に避難。1LDKの都営アパートで暮らしていたが、母親は窮屈さに耐えかねて、いわき市に戻り1人で暮らしている。女性は「1年ずつの更新では先が見えず不安です。」と住居スペースの改善と長期的な支援を求めた。
また福島県南相馬市から同じく2011年に、子どもと2人で東京へ避難した女性は、知人宅に身寄せたために、公営住宅に入居するには一般都民と同じ扱いになると窮状を訴えた。「人様に迷惑をかけないようにと知人を頼ったが、最初から都営住宅に入ればよかった。今は本当に困っています。助けてください。」と訴えた。女性の子どもは社会人となり独立したが、女性は仕事が見つらからず、孤立していると話す。
福島市から武蔵野市へ避難してきたキビタキの会の会長•寺島暁さんは、面談後の記者会見で、「自分たちが声を上げなければ尻切れトンボのように切られてしまう」と危機感を募らせた。「キビタキの会」では、引き続き住宅支援の拡充を強く求めていく方針だ。
YouTube版「原発避難者〜長期的な住宅支援を求め国に要望」
https://www.youtube.com/watch?v=QzcUoMuREN0
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関連サイト
キビタキの会
http://kibitakinokai.blogspot.jp/