東京電力福島第一原子力発電所事故を調査した政府事故調査・検証委員会が聴取した吉田昌郎所長ら772人分の調書について、東電株主代表訴訟の原告らが5日、調書を保管する内閣官房に情報公開請求を行った。不開示の決定が出れば、国に対して公開を求める訴訟を起こす方針だ。
同調書をめぐっては、5月20日に朝日新聞が独自に入手し報道。吉田元所長の調書を含めて、政府が聞きとり行った772人全ての情報公開を求めているが、政府は「聴取に応じた本人が同意すれば原則開示する」と主張している。
開示請求をした東電株主代表訴訟の原告の木村 結さんは、「当事者たちの記録を並べて見て真実を知りたい。情報は国民のもの」と開示の理由を語った。木村さんら東電株主代表訴訟の原告は2012年、原発事故当時のの応を記録した「テレビ会議」映像の保全の申し立てなどを行い、映像公開のきっかけをつくった実績がある。
請求人の一人で「福島原発告訴団」原告の地脇美和さんは、吉田調書を新聞記事で読み、事故当時原発が爆発する映像を見て、恐怖で逃げ回った記憶がよみがえってきたと語り、
「原発の中でなんとかしようとした人たちがいた。でもどうにも出来なかった。全ての人があの時の緊迫感、苦しさ、できなかったことを知るべき。でなければまた同じことが引き起こされる」と訴えた。
情報公開の請求の結果は30日以内にでる。
YouTube版「原発事故調書」開示を~東電株主ら訴訟も
https://www.youtube.com/watch?v=-WjBkd38sc4