東京電力福島第一原発事故を受け、環境省や福島県立医大などが共催した「放射線と甲状腺がんに関する国際ワークショップ」が24日に閉会し、福島県民健康管理調査で見つかっている甲状腺がんは「放射線の影響とは考えにくい」とする見解を示した。3日間の議論を終え、同会議の座長を務めた長崎大学の山下俊一教授が発表した。
この国際ワークショップは、環境省と福島県立医科大学、経済協力開発機構原子力機関が2月22日から東京の品川で開催していたもので、世界保健機関(WHO)や国際がん研究機関(IRAC)、アメリカの国立がん研究所、ウクライナの国立医学アカデミー、ロシアの医学放射線研究所などから専門家が参加。福島県被災住民の被ばく線量推計やチェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺がんに関して発表が行われた。
山下教授は、福島県の甲状腺健診で甲状腺がんの子どもがすでに33人手術を受けていることにについて、「5〜6年目にチェルノブイリと同じになることはない」と発言。(1)チェルノブイリと福島では放射線量が異なる、(2)スクリーニング効果が生じている、(3)ハーベストエフェクト(死亡後に発症する病気がスクリーニングによって事前に発見されること)という3つの理由から、「今後も増えるだろうとは予測していない」と結論づけた。
会議後の会見で、山下教授は「チェルノブイリとは検査方法が異なる。がんの成長には子どもで5年は、大人で10年はかかる」などと説明。福島県内の甲状腺がんは、1万人に2〜3人とい現在の推移が続くとする考えを示した。山下教授は、「秘密会」などの開催の責任などをとって、2月13日に開催された福島県民健康管理調査検討会を最後に座長を辞任。専門家として、福島県民健康管理調査の甲状腺がんについて言及するのは約1年ぶりとなる。
議長サマリー
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