小児甲状腺がん
2019/12/20 - 14:19

小児甲状腺がん解明へ向け鈴木眞一氏を証人採用〜脱被ばく裁判


福島地裁前でスピーチする支援者ら

福島県在住の小・中学生らが、年間1ミリシーベルトを下回る地域での教育を求めて、国や福島県、市町村を訴えている裁判(子ども脱被曝裁判)で19日、多くの小児甲状腺がん患者を手術している福島県立医科大学の鈴木眞一教授の証人尋問が行われることが決まった。福島県で多数見つかっている小児甲状腺がんの全容や評価をめぐり、尋問が行われる予定。

注目される鈴木証言〜甲状腺がんは「過剰診断」か
現在200人を超える小児甲状腺がんが見つかっている福島県の甲状腺検査。国や県は、「取らなくても良いがんを摘出している」として「被曝影響」を否定しているものの、集計外の患者が多数存在するほか、この間、臨床実態が明らかになっていなかった。

そこで、原告代理は甲状腺がんの全容を明らかにする必要があるとして、200人もの小児甲状腺がん患者を手術してきた福島医大の鈴木眞一教授の尋問を要求。一方、国や県は当初、鈴木氏の多忙さやその必要はないなどと主張し、尋問を拒んできた。

しかし裁判所は尋問の必要性を認め、当初2日間予定していた期日を1日にする代わりに、原告代理人が事前に提出した質問書に沿って、鈴木氏が陳述書を提出する方針を決定。この陳述書をもとに証人尋問が行われることとなった。証人尋問は2月14日15時から17時の2時間。証言台での鈴木氏の発言が注目される。

原告代理人が提出した事前質問書
http://www.ourplanet-tv.org/files/20191219.pdf

山下俊一氏が証言台に立つのは3月
子ども脱被曝裁判は2014年9月、福島県内の子どもとその保護者が約170人が訴えているもので、初期被曝に対する損害賠償責任をもとめて国と県を訴えている裁判と、被ばくをせず教育を受ける権利の確認を求めて市町村を訴えている裁判の2つが同時に争われている。

この日も、一度は埼玉県に避難したものの、3年前に福島市に戻った母親が証人台に立ち、事故直後に十分な情報を得られず、出生後まもない乳児をベビーシートに乗せて地面に置いてしまったことへの後悔や、母子避難によって困窮し、外食で子ども3人分の注文ができなかったときの悔しさなどを、目を潤ませながら訴えた。

裁判では、福島原発事故後に明らかになってきた「放射性微粒子」による内部被曝の影響が大きな焦点となっており、これまでに原爆症裁判などにも取り組んできた東神戸診療所所長の郷地秀夫さんや元・京都大学工学研究科教務職員の河野益近さんらが証言台に立つなど、科学論争が続いている。

裁判はこの後、1月23日(木)に本人尋問、2月14日(金)に鈴木眞一氏の証人尋問、3月4日(水)には、長崎大学と福島医大の副学長を務め、量子科学技術研究開発機構の高度被ばく曝医療センター長にも就任した山下俊一氏の証人尋問がおこなわれる予定だ。

子ども被曝裁判
http://datsuhibaku.blogspot.com/
子ども被曝裁判弁護団
http://fukusima-sokaisaiban.blogspot.com/

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