福島県が、原発事故によって避難している一部の世帯に対して、2倍の家賃を請求したり、提訴する準備を進めていることを受け、避難者の当事者団体らが8月29日、復興庁や財務省など政府関係者と面会し、強制退去を促すような強引な住宅政策を改めるよう要望した。
政府へ要望を行ったのは、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」や「避難の権利」を求める全国避難者の会、避難の協同センターなど3団体。避難の協同センターの事務局長・瀬戸大作さんは、公務員住宅から退去していない避難者60世帯に対し、「罰則」として家賃を2倍にしたり、一部の世帯に対して、強制退去を求める訴訟を準備していることを問題視。多くの避難者が公営住宅の入居を希望していながら、入居要件に該当しなかったり、引っ越し費用がないなどの理由で、転居が難しい実情を説明した。
瀬戸さんは、多くの避難者が、収入と見合わない高額な家賃を請求され、精神的にダメージを受けていると説明。市民による民間団体と協力して、一人ひとりの生活実態を詳細に把握するよう求めた。しかし、復興庁の担当者は、福島県の決定は尊重したいの一点張り。福島県が相談事業を実施し、把握に努めていると回答するにとどまった。