愛知県で開催中の「あいちトリエンナーレ2019」の企画のひとつ「表現の不自由展・その後」の公開が中止されている問題で22日、出品作家やジャーナリストらが都内で緊急シンポジウムを開いた。参加者らは、脅迫などで展示が中止になっている事態に抗議し、展示を再開するよう求めた。
シンポジウムを主催したは、OurPlanetTVや日本ビジュアルジャーナリスト協会など6団体。「表現が暴力によって封殺される前例を放置すれば、今後同様の自体が増えていく恐れがある」とよびかけ、450人以上の市民が集まった。
第1部では、「表現の不自由展・その後」に作品を出品していた作家らが登壇。中国に置き去りにされた「慰安婦」の写真を出品していた安世鴻さんは、2012年にニコンサロンで予定されていた写真展が、開催1ヶ月前に突如、中止通告を受けた経験を紹介した上で、今回の問題について、「7年前より悪化している。民主主義の退行を感じている」と懸念。「被害を受けているのは、アーティストだけではなく、見る人の権利が侵害されている。皆さんと連帯して、表現の自由や知る権利を守っていきたい」と述べた。
第2部のパネルディスカッションでは、映画監督の森達也さんが、「10年前よりも不安と恐怖が強くなっている。」と指摘。「万が一が起きたらどうするんだという脅しに、誰も抗しきれなくなっている。それを政権やメディアが利用している」と批判した。
シンポを呼びかけた一人、ジャーナリストの綿井健陽さんは、「このまま再開できなければ、今後、日本では、慰安婦に関する展示や映画の上映は出来なくなる。日本社会の敗北でないか。なんとかして再開する知恵を皆さんと考えたい」だと訴えた。