愛知県で開催中の「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、中止となった問題で7日、出展者や有識者らが都内で集会を開き「日本社会が『表現の不自由な社会』であることを実証した」と批判。展示の再開を訴えた。
集会を呼びかけたのは、先月発足した市民や有識者らがメンバーの「表現の自由を市民の手に全国ネットワーク」。「表現の自由」を侵害する行政の自主規制などが続いてることから、勉強会などを開いてきた。
1日から始まった「表現の不自由展・その後」には16組の作家が参加。「慰安婦」問題や、天皇と戦争、憲法9条、原発、政権批判など、過去に公共の施設で展示不可となった作品を展示していた。展示されている慰安婦を表現した「平和の少女像」に対して、2日に河村たかし名古屋市長が「日本国民の心を踏みにじる」と撤去を要請。会場の愛知県美術館には、「ガソリン携行缶持ってお邪魔する」という脅迫のファクスが届き、安全上の理由から展示が3日間で中止された。
この日の集会には、約130人が出席。「表現の不自由展・その後」の出展者の一人である中垣克久さんは、展示が中止となったことを、実行委員会から一方的に通告されたことを批判。「作家の意見は全然聞かれていない。作家の尊厳はどこにあるのか」と訴えた。
同ネットワークの世話人代表である武蔵野美術大の志田陽子教授(憲法学)は、「公権力が表現の内容に踏み込んで、選別や取捨選択することは厳に慎むべきだという、憲法の一番重要な原則が問われている」と述べた。
同ネットワークは抗議声明を発表し、「中止された事業を「表現の自由」を求める市民の力によって再開させた「よき前例」にすることが必要です」と展示の再開を求めている。
関連サイト
あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」出展作家
https://censorship.social/artists/