環境省除染サイトより(左が早野龍五氏、右が宮崎真氏)
伊達市民の個人線量データが、本人の同意を得ずに論文に使用されていた問題をめぐり、論文の著者のひとりで、伊達市の市政アドバイザーだった宮崎真福島医大講師が2015年、伊達市の半澤隆宏直轄理事(当時)に、個人線量調査で取得した同意書のコピーを要求していたことがわかった。メールには、「学術的な解析を行う際に、それに見合う同意が取れているかどうかの確認」であると説明する記述があり、宮崎氏は当時、論文執筆には「同意書」が欠かせないと、強く意識していたと見られる。
宮崎氏は同年2月、伊達市から個人線量計による外部被曝調査を受託していた千代田テクノルから住民データを入手。7月末には、論文に掲載されているものとほぼ同様の6万人を解析した結果を市の職員に示していた。宮崎氏は倫理審査を通過するためには同意書が重要であると認識する一方、実際のデータ解析においては、同意の有無について全く考慮していなかった可能性がある。
伊達市の主張と大きく食い違い
同意書の扱いをめぐっては、2015年11月に福島医大の倫理委員会に提出した研究計画書に「同意のあるデータのみを使用」と記載。一方で、宮崎氏と共著者の早野東京大学名誉教授は、論文に使用したデータの中に「不同意」のものが含まれているというは、昨年2018年12月14日の報道で初めて知ったと釈明してきた。
伊達市民からの情報公開請求を受けて、2017年4月24日に、伊達市職員と宮崎真氏が面会した際の議事録に、「データについては、論文作成時に宮崎先生が「同意あり」のみを使用」との記載があるが、宮崎氏はこれを否定。面会の事実は認めたが、同意については確認した覚えはないとしている。
また伊達市が宮崎氏らに提供したとする被曝データには、同意の有無を判断出来る項目が存在するが、宮崎氏はこれも否定してきた。伊達市に残る記録と宮崎氏の主張のくい違いがより鮮明になっている。今回のメール発覚を受け、改めて宮崎氏に確認したところ、「現在本件は伊達市、東大、本学が各々調査を行っており、宮崎個人としてのコメントは差し控えさせていただきます。」と福島医大を通じて回答した。