外国人労働者の受け入れ拡大につながる「入管難民法」改正が国会審議入りする中、国際的な人権団体が11日、茨城県水戸市で、日本の外国人政策に関する講演会を開催した。講演したのは、25年にわたり、牛久市にある法務省の入国管理局センターに面会に通った経験を持つ「牛久の会」代表の田中喜美子さん。勾留された外国人がおかれた厳しい実態について報告した。
つくば市で喫茶店を営む田中さん。入管センターが牛久に移転して以降、1995年から面会を開始し、以来、唯一の定休日となる水曜日に入管センターに足を運び、1日7組程度の外国人と面会を重ねてきた。その中には、難民申請中のベトナム人が医療を受けられず亡くなった人や、日本人女性との約束をしながら、泣く泣く強制送還された技能実習生もいたという。
日本における難民認定の状況は厳しく、昨年1年間で難民申請者をした外国人は2万人に上る一方、認定された数はわずか20人。収容されている外国人は、難民申請が通らないため、条件つきの滞在許可である「仮放免」の申請許可を待ち望んでいるが、最近はほとんど許可が下りず、牛久の入管センターでは、半年以上収容されている人が150人を超える。また、仮にも「仮放免」が認められて出られたとしても、就労は禁止され、県外の移動も制限されている。
田中さんは「(日本人の多くは)、収容の実体も知らないし、茨城県の人でも収容所さえ知らない。」と指摘。「私たちの良き隣人。自分の所で働いていた人、自分と一緒のスーパーで買い物をしていた人が収容されているという現状は知らせなきゃいけない」と力を込めた。
講演会を主催したのは、「アムネスティ日本・水戸グループ」。日本国内では難民をめぐる議論がほとんどなされていないことや、入管センターで長期勾留を苦にした自殺などが起きていることを受け企画した。講演会には、約40人が参加。牛久の入管センターについて詳しく聞いたのは初めてという埼玉市の女性は、「同じ人間として、こんなことをしていいのか」と驚きの表情を見せながら、「もし逆の立場になったらと思うと、どうしたらいいのか早急に考えたい」と感想を漏らした。