法務省は26日、死刑が確定していたオウム真理教元幹部6人の死刑を執行した。今月6日には、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚ら7人の執行がされており、今月だけで13人の執行となった。1ヶ月に2回の死刑執行が行われるのは、法務省が死刑執行を公表するようになった1998年11月以降初めて。
死刑が執行されたのは刑の確定順に、宮前(旧姓岡崎)一明、横山真人、端本悟、小池(旧姓林)泰男、豊田亨、広瀬健一の6人。6日に死刑執行された7人とともに、坂本堤弁護士一家殺害、松本・地下鉄両サリンの3事件のいずれかに関与し、死刑が確定していた。
上川陽子法務大臣は 死刑執行を受けて記者会見を開き「鏡を磨いて磨いて磨ききるという心構えで、慎重な上にも慎重な検討を重ねた上で執行を命令した」と述べ、2日の24日に執行命令書に署名したと明らかにした。
再審請求中の死刑囚は誰かと問われると、「お答えは控えたい」と回答は拒否。「再審請求を行っているから執行しないという考えは取っていない」と、再審請求中は死刑を執行しないというこれまでの前例を踏襲しない考えを強調した。大臣在任時の死刑執行は1人を含めて計16人となり、鳩山邦夫氏の13人を超えて最多となった。
死刑執行がおこなわれた26日は、19人が殺害されるという史上最悪の「やまゆり園」事件から2年目に当たる。しかし「2日前に、この日を避けることは頭に浮かばなかったか」との質問についても、「個別の内容にはお答えできない」と回答を避けた。
人権団体は死刑執行に抗議会見
死刑執行を受け、アムネスティインターナショナルをはじめとする人権団体は、一月に13人もの死刑が執行されたことについて抗議声明を発表。今回も再審請求中の死刑確定囚がいたことについて、監獄人権センター事務局長の田鎖麻衣子事務局長は「司法判断を受ける死刑確定者の権利と、判断を行う裁判所の権限をともに否定するもので民主主義国家としてありえないと」と声を震わせた。
また、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの柳川朋毅さんは、執行をした26日がやまゆり園での事件が起きた日であることに触れこう話した。「加害に至った青年には、「生きていていい命」と「生きるに値しない命」「死んだ方がいい命」「殺した方がいい命」が存在するんだという信念、信心があったような気がする。死刑というものは、「生きていてはいけない命」があり、その命を国家の力によって殺害することが正義なのだ。暴力によって秩序を維持するんだというということを見せしめる行為に他ならない。この「世の中には死んだ方がいい命があるんだ」という残虐なメッセージが、死刑を執行し続けることで、もう何十年間も発し続けられている。それを彼なりに受け止めてしまった青年が起こした事件が2年前の事件だったのではないかと思うわけです。」
声明
アムネスティ・インターナショナル
http://www.amnesty.or.jp/news/2018/0726_7521.html
監獄人権センター
http://www.cpr.jca.apc.org/archive/statement#1228