(会議終了後の長瀧重信座長会見)
原発事故に伴う住民の健康調査に関して検討している環境省の専門家会議は18日、中間報告書をまとめた。報告書では、福島原発事故による「放射線被ばくによって何らかの疾病のリスクが高まる可能性は小さいと考えられる」とした上で、福島県内の甲状腺検査について見直しを提言。また福島県外での健診は必要ないと結論づけた。
原発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 中間取りまとめ
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-14/mat01.pdf
「生涯見守り」から「疫学研究へ」転換へ
原発事故当時18歳以下だった子ども36万人を対象に実施している甲状腺検査について、同報告書は、「今後も継続しているべきものである」としながらも、「被ばくが少ないと考えられる住民を含む広範囲の住民全体に引き続き一様な対応を行うことが最善かどうかについては議論の余地がある」と記載。その上で、WHO報告書などでも言及されている疫学的追跡調査として充実させるべきだと提言した。
福島県内の甲状腺検査は、「生涯にわたり皆様の健康を見守ります」をキャッチフレーズに、県民の不安解消や早期発見早期治療を主眼においてきた。しかし、この半年、放射線影響について疫学的な立証ができないといった批判や100名を超える悪性・悪性疑いが出ていることについて、「過剰診断」との批判が強まっていた。こうした中、専門家会議は、これまで全ての子どもを対象としてきた検査の対象範囲を縮小させ、コホート研究として臨床データの収集を拡充すべきとする方針を示した。
福島県外の健診はなし
会議の当初の目的だった福島県外における健診についても、「福島県内の避難区域等よりも多くの被曝を受けたとは考えにくい」と必要性を認めず、「個別な健康相談やリスクコミュニケーションを通じて、情報を丁寧に伝えることが重要」だとした。また、実施については、福島県の「甲状腺検査」の状況によって決定するとしている。
「中間とりまとめ」は「最終とりまとめ」
これまでの会議では、一部の委員から度々、「子ども被災者支援法」にのっとり、健診と医療支援に特化した会議を省庁連携した上で設置すべきだとする意見が出されてきた。前回の会議でも、日本学術会議の春日文子委員から、「に省庁間を超えた後継会議を即座に設置すべき」との発言がなされたが、報告書に「意見があった」と記載されているのみで、提言としては盛り込まれなかった。
報告書では、の方向性について「県民健康調査等の動向を中止し、省庁関連系の上でデータの収集や評価に務め、幅広い観点から科学的検討を行うべきである」と結んでいる。事務局側も、福島県民健康調査の甲状腺検査で「多発」が認められない限り、新たな検討は行わないとしており、今回の「中間とりまとめ」が事実上の「最終とりまとめ」となる。
来週「事業案」が公表されパブコメへ
子ども被災者支援法にのっとり、昨年11月から1年にわたって開催された専門家会議。「中間とりまとめ」が了承された最終会合は、傍聴者を入れないかたちでの異例の開催となった。もともとは、福島県外の健診をテーマに議論するとの建前だったが、その大変を線量推計に費やし、異論を挟めないような強引な会議運営により、8月には、住民らが長瀧座長の解任を要求。また、抽選名目で、一部の傍聴者を閉め出すなど、運営手法も批判の的となってきた。
傍聴に参加できなかった「子どもたちを放射能から守ろう関東ネット」など3団体は会見を開き、環境省を批判する声明を発表した。共同代表・木本さゆりさんは、「健診をして欲しいといい市民の声、批判的な声を押さえ込もうという意志を感じる」と会議を批判。また国会事故調の元委員で高木学校の崎山比早子さんは、「本来は傍聴だけでなく、住民を参加させて、声をきくべきだ」と強調した。
環境省は来週にも、専門家会議の提言をもとに事業案を公表する。事業案はパブリックコメントにかけられる予定。その後、予算案が確定する見込みだ。
記者:コホート調査のように臨床研究としてやるんですかやらないんですか。
長瀧:被災者の方々の検査を受ける自由がある。受ける受けないということは。だけど一方で、本当に放射線の影響が科学的に疫学的に調べようとしたら、生涯ずっとフォローすることで、集団を決めてフォローしないといけない。お互い相反することでよね。
記者:どちらですか?
長瀧座長:両方とも必要だということをこの委員会に提言して、本当に現地で理解をえるように。
記者:では現地に丸投げと、現地で考えろと福島県で考えろということですか。31ページ、32ページでコホート検査というのはなくなりまして臨床検証に関する倫理指針に基づいて甲状腺ガンの増加の有無に関する科学的知見をえられるような検査を充実させるべきだと31ページには書いてあります。その上にはこれまでの甲状腺がん調査を評価すると書いてあります。ところが32ページには、施策として一律に実施するということには慎重になるべきと書いてあって、結局専門家会議としての結論がありませんので、そこをお尋ねしたんですが、どっちも大事だということだったので、つまり専門家会議としてはこれは福島県に丸投げするということですか。
北島部長:32ページは近隣県の話になってるので別の話。
記者:つまり福島の近隣の県については最後の3行にあるように、自治体が望めば国は支援すべきであるということですか?
北島部長:個別の相談やリスクコミュニケーションについての話です。
記者:つまりここでは検査するメリットデメリットは会議で議論されたことが述べてあるだけで、結論は一切なくリスクコミュニケーションをやりなさいということですか。
長瀧座長:福島県外に対しては対策型検診はよくないと書いてあります。対策型検診をいきなりやることは、県外では、放射線量の関係からやるべきではない。
記者:福島県内ですけど、WHOに書いてあるような疫学的追跡調査をやるべきということか。
長瀧座長:やるべきだけども、それを全員にやろうっていうと、今度は被災者の受診の自由がどうするかっていう両方とも非常に難しい。調査をやるとしたら受診者の自由を十分尊重しながら臨床指針に従った形できちっと同意も取った上で、放射線の影響を調べるような企画をすべきだ。
記者:疫学的追跡調査は現行の調査とどんな点が違うのか。
長瀧座長:原爆の場合は強制的にコホートが決まって、ずっと60年間フォローしてきたわけだけれども、それと同じようなことが福島でできるだろうか、そのためにこれは被災者の健康を本当に考えた時に、1人1人の任意型の検査というものは当然出てくるわけだけども、それと一緒に、放射線が怖いと、放射線のせいだということを検診を通じて何かを出そうとすれば、きちんと同意を取って疫学的な研究としてやらなければならない。それをいまここで疫学的に怖いということに対して放射線の影響を調べようとするんだったら、ちゃんと被災者の同意を取って企画して進めなきゃならない。
記者:今も検査をしている人に福島県立医大は同意を取ってると思うが、新たにその疫学的調査に対して同意を取るということか。
長瀧:そうですね。先行検査が終わって、一周目が終わったあたりで、その時点時点で何をやらなければいけないということを、委員の中でも議論するし、県民にもオープンにする。次のステップを考えていく。その中で被曝の検査をするんだったらちゃんと同意をとった、検査に必要な体制を考えて、お互いに理解をしながらすすめていく。ここでそれをやんなさいとか、やるべきじゃないとか言うところまで我々そんな状況じゃなくて、もっとやっぱり現地の被災者の方と現地で検査をする方の間の会話を我々としては尊重したいということ、決して丸投げではない。
記者:そのために国に対して充実した支援をと書いてあるがどんな支援を想定しているのか。
北島部長:専門家会議の報告書を頂きまして 新年度に向けた施策を、方向性をしめしていきたい。近日中にお知らせできるように準備をしたい。
記者:今回の報告書について自治体からもリアクション出てくると思うんですが、今後専門家会議はどう返してくのか。
北島部長:あくまで専門家の意見として今回頂戴しているので、色々なご意見やリアクションがあった場合には、環境省としても受け止めて今後の検討に還元したい。
記者:中間報告なんですが、今後のスケジュールは。
北島部長:具体的にどうするか。いま入手可能なデータは提示して、可能な限りのデータをしていただいておりますので、また新しいデータが出揃ったところで必要な検討をしていく。具体的な予定はたっていません。
記者:今の段階で来年度以降の予算措置ができるものは中間報告を受けてやっていくと。
北島部長::はい。
記者:読売ですけど。この修正した報告書はいつホームページにアップしますか。
北島部長:数日内に出せたらいいなと思っています。
記者:中間取りまとめですが、パブコメを受けて変わるとかそういう性質のものではないのか。
北島部長:専門家のご意見ですのでこれに直接パブコメをいただくというよりは、それに対する施策を行政としての方向性を示していきますので、それについてはご意見をいただいていこうと思っています。
記者:環境省にご意見どうぞという形になって、それで環境省が今後の予算とかに反映させる?
北島部長:中間報告を受けて、環境省としての新年度予算や新年度やる方向性を示すのでそれについて広くご意見をいただこうかなと。
記者:環境省の新年度の事業については意見を聞くけれど、中間報告に対しては意見を聞かないと、専門家の結論ということで公表することですね。
北島部長:はい。
記者:具体的に環境省の行う施策についてはいつ公表される。
北島部長:あわせて近日中にお出しする。予算確定する前に方向性を示さないと、ご意見頂戴できませんので近日中に知らせて、これからの予算の作業で実現していくと。パブコメも近日中にスタートしたいと思っております。
記者:現段階で予算の方向性はどうお考えですか?
北島部長:いくつか報告書の中に、国としてやるべきという風に書いてあところがありまするので、そこについて予算措置が必要なものですとか、今までの研究費の中で対応するもの。いろいろあると思っているので、今それを整理してできるだけ早くお示しします。
記者:福島民友ですけど、原発事故で低線量だが否応なく被爆した人がいる。その人の健康管理を守るのは国の最低限度の責務だと思います。甲状腺の調査で、なぜ任意というものが入ってくるのか。
長瀧座長:強制的に調査をするのでない。我々の意見は、対策が出て希望する人もしない人も、みんな同じ検査をして、たくさんの検査をすることは決していい健康管理ではない。ただ怖いから検査をしろとか、被爆の被害を受けたから検査をしろと、健康検査とはそんなものではありませんと、個人個人が受ける検査に対して、採血しろとか何か、ただ怖いから強制するものではない。もう既にそれぞれの場所で、もう被災者と呼ばれたくないという、被災者の中で3年経って意見も分かれていると思うんですね。それを強制的にただ怖いから皆さん同じ検査を受けなさいというものではない。
記者:福島県側で丹羽先生とか阿部先生とかの意見はそうではないですよね。検査をすることで不安の解消につながるという意見が出ているわけです。
長瀧座長:そういう意見もあるでしょうね。この委員会ではそういう意見は出なかったですよ。
北島部長:ちょっと補足をさせていただきますと31ページにあるように、福島県の対応は今後も継続していくべきと評価してもらってる。疫学調査として充実させるに当たっては、同意を取ってもらう、検査に参加していただく方を絞ったらどうかということも併記してある。
白石:座長に専門的な点で、31ページと34ページに「被ばく線量に応じて検診を行うべき」「比較的低いところではやらない方がいい」と書いてありますが、その線量は100ミリなんでしょうか20ミリなんでしょうか、1ミリなんでしょうか。科学的にみて、被ばく線量に応じて検診をすべき線量と、すべきじゃない基準を教えていただきたい。
長瀧座長:将来リスクが考えられるというのは、臓器によっても違うしや年齢によって違うし、ただ一律に100ミリだから50ミリだからとはいえない。今までの放射線の線量と、その人たちをフォローしてた時の異常の報告があるわけですから、そこでなんらかの異常があるというものにはもちろん検査をすべき。
白石:臓器とおっしゃいましたけど、基本的にはこの専門家会議では甲状腺ガン以外には触れられてこなかったんですけれど、臓器別の線量もあったと思いますが、どう思いますか?
長瀧座長:線量の評価に関してはまだまだ今から、そこをちょっと整理しなきゃいけないんですけども、被曝したことに対する線量の不確かさっていうのは何度もここで言ってますよね。線量の評価はどんどんどんどんやっていかなきゃ。精力的にやる。そしてその線量の評価に従ってその地域の被爆した人の健康管理はやんなきゃいけないんだけども、わからないからといって全員に過大な健康検査をするということが本当にいいことなのかそういうことの非常に難しい議論ですね。
白石:JCOのように1ミリを基準に検診するのは問題だったのでしょうか。
長瀧座長:JCOの時も座長でしたけれども、あれは国の委員会の結論と自治体の実行とは随分離れていまして、国の委員会としては自治体の検査することを阻むものではないというふうな言葉だったと思います。そして自治体としてはやっぱり心配な人のフォローアップはしたいから、自治体としてやるそういうような結果だったと思います。
記者:最新の県民健康調査検討委員会でも、福島県庁の方が県民の意見として、健康調査を続けてて欲しいと言っていましたが、被災者として怖いからといって健康調査をしてほしくないという長瀧さんの意見はどこから拾ったのか。取材をしていてうかがったことはないので。
長瀧座長:直接私が聞いたのは、こういう委員会で2回あります。フォーマルなところで被災者の代表として。
記者:被災者の代表として健康調査をしてほしくないという言葉を聞いたということか。
長瀧座長:被災者として扱われたくないという言葉を。
記者:健康調査についてはどうか。
長瀧座長:健康調査は被災者だから手帳を使って健康調査をやりましょうということ。
記者:被災者として「健康調査をしたくない」という言葉を2回聞いたんですか。
長瀧座長:はい。2回聞きました。
記者:子ども被災者支援法に基づいてこの会議はできたんですけども、被災者支援法では被曝に起因する医療費については国は減免を講ずるべきだと求めているが、この専門家会議では一切、医療費減免については議論しませんでんしたがそれはどうしいて。
長瀧座長:被曝に関係する病気かどうかっていうことを主に議論した。科学的に生物学的な効果として影響があるかどうか。そのリスクがあるかということは非常に時間をかけて議論した。ただ今度はその具体的な科学的リスクにくわえて、精神的なあるいは社会的な、避難した、そういう健康への影響は一杯あるんで、それはむしろ放射線の影響よりはもっともっと今の日本にとって大きな問題で、もっともっと力を入れていかなきゃいかない分野なんだけども、それは我々としては十分に認めてる。だけど、そこを委員会で議論できるかっていうと、例えば精神科の専門家もリスクコミュニケーションの専門家も誰も入ってません。我々が期待されたのは、放射線の影響があるかどうかっていうこと。
記者:それについてはリスクが低いから、医療費についても議論するまでもないっていう判断ですか
長瀧座長:そうです。まあ医療費までは我々議論しませんでした。ただ、どこまで放射線による科学的な影響があるかという議論で、それに基づいて医療に対して云々っていうのは、それこそ行政の方がこの委員会の結論を受けて、行政がどう医療費にまで話を持っていくかということだと思います。ですから、この委員会は専門家としての客観的放射線の影響が生物学的にどこまであるかということについて、1年間かかって議論した。それはその初期の始まった時の何もわからないで怖いと言ってた時と、3年間経って随分測定結果が3年間溜まってきた段階で、我々はその3年間のデータを頭に入れて、現在、科学的に考えましょう。まあそういう立場がこの委員会だと思うんですね。
記者:生物学的被害よりもより心理的、精神的被害の方が大きいという、そのエビデンスはどこに書かれていますか?
長瀧座長:そこは、ただ我々の専門家もいないから。
記者:いなければ、エビデンスあるんですか。ないんですか。
長瀧座長:ここでエビデンスを出して議論はしてません。
記者:では何故、精神的な影響のほうが大きいということになるんでしょうか。
長瀧座長:では、あなたにお聞きしますけど、今福島県でどのエビデンスで病気の人が多いというんですか
記者:104人ガンが出てらっしゃいますよね
長瀧座長:どこに?ガン?甲状腺ガン。出てるのかどうかってのは。。。
白石:長瀧先生、論文書いてらっしゃいますよね、10月に。その中では、甲状腺がんが、チェルノブイリよりも低線量なのに多いと高村先生と一緒に書いてらっしゃいませんか。つまり多いですよね。
長瀧:低線量で?
白石:その論文には、チェルノブイリよりは低線量だけど、甲状腺がんの数は多いと言及されてらっしゃいますよね。
長瀧:文献によってちょっと違うからあれだけど、その時は笹川財団としてチェルノブイリで我々が作った超音波を持って行って、そしてそのチェルノブイリで測った時のガンの頻度と、しかも被ばくしていないというところのがんの頻度と福島の頻度が同じだということは書いてます。
白石:福島の方が多いと書いてます。
長瀧:ですから、被曝してるところは圧倒的にチェルノブイリの方が多いですよ。例えばゴメり地方とかをとれば。
記者:被爆のレベルについて、福島とチェルノブイリで比べるのデータは、福島の場合1080人しかないんです。福島が被曝してないってデータはどこにあるんですか。
長瀧:被曝してない人、いや、あの〜被曝していない人と比べたということですね
記者:いや、今、福島が被曝していないという前提で仰ってますよね。
長瀧:いま環境省の受託研究で、福島からはるかに離れたところの4000人ですけども少なくともその方々の好意によって、健康診断を同じようにやってもらって福島と差はなかったというデータはありますよね今。
白石:三県調査はたぶん疫学的には比較はできなくて、それはそういう比較はできなくて、もっと多い数で比較されてその論文は書かれたと思いますし、福島が被曝してない、、、
長瀧:それが本当に増えたかどうか見るためには、同意をとって疫学的にちゃんと意味のある検査をしなければ結果は出ないと。おそらくまあ今の想像では、あるいは他の国際的ななんでも、ずっと生涯フォローしても有為者が出るかどうかわからないと。出ないとはいえないという程度のものですから。それを見つけるためには、本当にきちっした調査を福島でやって何か結果が出るかどうかということですから、今の段階で増えた減ったということはとても言えない。言えるはずがないですね。
記者:そもそも論なんですが、現在の甲状腺検査って強制なんですか。任意じゃないんですか。
長瀧:福島も今は任意だと思いますよ
得津参事官:任意で受けたい方が受けてる。県立医大から受診勧奨の案内を出して、それで受けたい方が受けているというのが実態だと思います。
記者:となると、同意書を取ることだけが、新たに加わるということか。
得津参事官:同意書はとっていますが、包括的な同意書でもあるので、より丁寧に臨床データもとれるような研究計画も出して、本来は同意を取るべきというのが。
記者:データ収集のための同意であるということか。
得津参事官:丁寧にやるとそういうことなんですけど、ただ包括同意をとって動いているところもありますので。あとそれから、重要なのはこれから進学とかで県外にいかれるお子さんたちも出てくるので、そういう方たちに、きちっとアプローチできるような、そういう環境も重要だと思っていますので、そういうことにもきちっと支援していくようなことをこの中に盛り込んであると思いますけど。そのことも、我々はやっていこうと思っていると。
記者:それを国がやる余地はどこにあるのか。
得津参事官:それは県と調整して、県にやってもらうってことですよ。
記者:予算措置は既に済んでいるじゃないですか。基金で。
得津参事官:いや基金でできるところと、できないところもありますんで。
記者:1000億よりも更に必要であると。
得津参事官:1000億ですか?
記者:1000億積んでありますよね。基金は。
得津参事官:基金は780数億だったと思います。
記者:国が出したのはそうですけど、あと東電が出す分がありますよね。それで足りない分を国が補完するする必要はどこにあるんですか?国がやる余地が見えないんですが。
得津参事官:あ、そうですか。
記者:どこにあるんですか。
得津参事官:我々は、そういうことをやったほうがいいと思っていますので。
記者:何を。
北島部長:近日中にまた。
記者:何をするんですか。
白石:疫学調査をすることに、国のほうから予算措置をすることが医療支援として必要だとそういうことですか。
日野:コホート調査に予算をつけて、誰か研究者の人に予算をつけてやらせると。そういう趣旨ですか。
北島部長:そこについてはまた、とりまとめて発表しますので。
記者:次のタイミングというのは、疫学調査の結果が出てくるとか、疫学調査でこういうことをやりますというタイミングで公表したいと。そういう趣旨か。仰りたいことは。
北島部長:この報告書を受けて、国でどういう予算措置をしたり、どういう事業をやるかという方向性をこれから発表させていただくということでございます。近日中にですね。
記者:いま18歳未満の人が対象になっていますが、その年齢以外の人たち、これから生まれてくる子どもたちへの調査が含まれると考えてよろしいんでしょうか。
長瀧座長:少なくとも今までの報告によると、年齢に非常に関係すると。ガンの発生はね。ですから、今までも日本の40歳以上の方は、事故の時にヨウ素剤を飲まなくていいということになってたわけ。
記者:チェルノブイリだと、妊婦あるいは被曝されてた若い女性が生んだ次世代の方への調査まで行われてますけど、
その必要性は?
長瀧座長:次世代への調査はどこまで、ちゃんとコホート、疫学的にやったかわかりませんけどね。少なくとも何か有為差があったということは国際機関の発表の中には入っていない。
記者:そもそも論ですが、福島の調査は任意調査ですので、放射線量が高いところでは行政を信頼せず、調査を受けずに外で、福島県以外の調査で、、甲状腺がんが見つかっているケースがいくつかあるのですが、そもそもサンプリング調査ではないという点で、あの調査が科学的な議論に耐えうるのかどうか。
長瀧座長:ですから科学的な調査が耐えられるようなことをやらなきゃならないけど、それを我々がいきなり、やんなさいというものではないということ。それぞれ人間が対象ですからね。調査をいきなりそこらへんの人を捕まえて調査の対象にしろとは言えない。ちゃんと話をして同意した方がその調査に加わっていただけるということが、まあ今常識ですよね。やるとしてもね。
記者:なので、あの調査で甲状腺ガンについて何も議論できないのではないかと思うんですが、被ばく線量が高いほど、福島県の調査を受けておりませんので。
長瀧座長:今の段階では線量に関する調査が非常に少ないですよね。がんを調べた割に、1人1人の線量が報告されてるわけではないから。だから線量との関係は今の段階ではものを言えないでしょうね。だから今度は人から離れて地域からどうするかという方法もいくつか分析の方法がありますから。
記者:今の段階では、被ばく線量と甲状腺がんの関係は言えないということですね。
長瀧座長:もし言えるとすれば、各地域の差があるかどうかですね。例えば非常に近い浜通りと会津地方に差があるか。
記者:ですがその調査は2011年3月11日に住民票があった人のみですので、移動していたり、すでに引っ越していたり。
長瀧座長:一人ひとりの履歴を調べないといけないでしょうな。もちろんね。
記者:県外で希望する方がいる場合、先ほど、コホート調査の結果を見てから、国が判断するとおっしゃいましたが、自治体が調査をやりたいとなった時に、国として支援することがあるのか。
長瀧座長:国が支援するかどうかというのは、僕の、この委員会の判断ではなくて、委員会としては全員に同じ検査を県外の人に、対策型検査をやるのは賛成ではないと。まずスクリーニング検査のメリット・デメリットをお話して、その上で、やりたいという方がいたらそれに関して、そのちゃんとどういう方向がいいのか、自治体がお話しすると。任意型の検査として受けるということは当然のことです。
記者:そこに国が支援するかどうかというのは。
長瀧座長:それは、我々の議論ではなくて、それを行政がどう取り扱うかということで。
記者:それでは環境省さんはどうですか。自治体が調査したいという希望があって、デメリットも把握されて、それでもやりたいという自治体があった場合、国としてはこの中間報告を踏まえて、予算を付けたりという方向は考えてらっしゃるのか。
北島部長:この中間報告を受けて、どのような対策を進めるかというのは近日中に公表させていただきたいと思いますが、今、長瀧座長が仰ったように、県外については一律に対策型検診として、福島のような形でやるということは書かれておりませんので、そこはいまのところ、私どもとしては考えていない状況でございます。
福島議員:私はメディアじゃないんですけど、すみませんが、そもそもこの専門家会議は、福島以外の子どもの健康調査についてどうするか、ということがメインのテーマだったんじゃないですか。ですから、そこに関して福島でもほかでも任意でやってるわけですから、任意を強調するのはわたしはおかしいと思っていますし、「福島以外でも子どもの健康診断やってくれ」というお母さんたちの声を受けて、それでこの専門家会議が始まったのに、専門家会議の中間報告が終わる時点で「福島県の県民健康調査・甲状腺検査の状況を見守る必要がある」で終わっているのは、ひどいんじゃないですか。もう結論出して「診断やるぞ」と決める段階ではないですか。
北島:この報告署を受ければ、現段階ではすぐにそういうことをする必要はないという風に読んでおります。
白石:一つ確認なんですけど、会議の中で、外部の専門家が、早急に、アウトブレイク前に、医療資源の確保など対策をたてた方がいいという話もありました。で、県外は、初期のヨウ素被曝の線量は、福島県の一部の地域と重なるどころか、高いところもありって、今、検査が行われずに、もし万が一後から見つかって、非常に深刻な転移とか、あるいはチェルノブイリの初期のような死亡例があった場合、いわゆる刑事的な、国賠ではない責任について、この会議はどう捉えてらっしゃるか。長瀧さんと部長にお聞きしたいなと。いつかきっと裁判が起こると思ってると思うんですね。
長瀧座長:そうですね。検査をすればね、検査をすればそれで終わりという意味ではなくて、検査をすること自体のメリットデメリットを十分に理解した上で検査を受けていただくと。そういう態度が抜けて、ただ怖いから検査をしろといって何もわからない子どもたちを…
白石:もし検査がされなかったことによって、より症例が悪化した場合のことについてどう考えかと。
長瀧座長:少なくとも今までの50年の歴史の経験と世界中の科学的な知識を集めて、リスクを計算してこっちでもあっちでも計算して、そしてリスクはこの程度だと言ってるわけですから、そのリスクに対してただ怖いから検査をしろというのは…。
白石:甲状腺がんについて、リスクが高まるのは何ミリか。もう一度。
長瀧座長:甲状腺ガンのリスク?それはね、僕自身が一番したのは、チェルノブイリの時にこれくらいで起こるはずがないというのが最初の我々の意見だったんですね。起こったときは。そして実際に調査をして、そしてその疫学的に最初に見つかったんですね。それがその疫学的に科学的に意味があるかと議論になって、その時はまだ放射線の量はわかっていない。だけど疫学的なそういった事実から我々も入って、これはチェルノブイリによって甲状腺ガンが増えた、今までにないものが増えたと発表した。それはその時には言葉としては客観的事実として、「時間的それから地理的なエビデンスによって我々は判断した」という言葉を使いましたけど、それから線量がなくても起こりうるわけ。判断をできれば。
白石:今の話だとチェルノブイリの線量がわからない時点で調査をされたと。
長瀧座長:線量はわからないけど、がんは増えたと。事故によってがんが増えたという言い方ね。
白石:例えばそれがもし福島県外で起こった場合に、ご責任、専門家としてどう捉えられているか
長瀧座長:責任を考えて、その責任を逃れようと思ったら、何でもやればいいいい言ってたら責任はなくなっちゃうよね。それは責任を取って、でも住民の人たちの健康を真剣に考えるというのが専門家だと思います。責任を恐れて何でもやれやれって言ってたら、それは専門家が責任を果たしたことにはならない。
白石:わかりました。
【YouTube版】「生涯見守り」から「疫学研究へ」〜甲状腺検査見直し提言
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