「サッカーのワールドカップが開催されているが、ベスト16に進出した国のうち、死刑が残っているのは日本だけです。」
オウム真理教の元幹部7人が死刑執行されたことを受け、アムネスティ・インターナショナル日本、NPO法人監獄人権センター、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの4団体が抗議の記者会見を開いた。
今日、死刑が執行されたのは、松本智津夫死刑囚、早川紀代秀死刑囚、井上嘉浩死刑囚、新実智光死刑囚、土谷正実死刑囚、遠藤誠一死刑囚、中川智正死刑囚の7人。死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90の深田卓さんは、「まず7人の死刑執行行われたことが問題」と指摘。「法務省がこれまで決めてきたルールがあった。死刑確定順に執行し、再審請求中や、恩赦を求めている人、重篤な病気の人、高齢な人を飛び越えて執行されるのに、今回は、これら全く無視された。ありえないと驚愕した」と怒りをあらわにした。
フォーラム90では、「年報・死刑廃止」という書籍を毎年10月に刊行しており、今年は「オウム死刑囚からあなたへ」という特集を組むため、死刑囚となった元幹部らに原稿依頼をしていた。深田さんは先月届いた早川死刑囚から届いた原稿を読み上げ、なぜ死刑にする必要があったのかと問うた。さらに4年ごとに実施している死刑囚へのアンケートに対して、新実死刑囚が、先月半ばに返信してきた内容を紹介。「生かして頂けるだけで有難き幸せと存じます」と答えていたことを明らかにした。新実死刑囚は恩赦を求めていた。
「年報・死刑廃止」に寄稿したもの6月5日付の早川死刑囚の自筆原稿。
監獄人権センターの代表理事・海渡雄一弁護士は、松本智津夫死刑囚は心神喪失状態にあり、今回の死刑執行は刑事訴訟法に違反している可能性が極めて高いと指摘。日本弁護士連合会が先月15日に、死刑執行確定者のうち8人は心神喪失状態にあるため、死刑の執行を停止するよう勧告しているにも関わらず、死刑を強行したとして厳しく批判した。
6月15日の日弁連の勧告
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2011/2011_2.html
さらに、死刑が執行された7人のうち6人は再審請求中であると報道されていることに言及。国連の自由権規約委員会をはじめとする条約機関も、日本政府に対し、再審請求中の執行を行わないよう繰り返してきたにも関わらず、死刑が執行されたとして、「司法判断を受ける死刑確定者の権利と判断を行う司法の権限をともに否定するもの」と非難した。
「慎重に検討した」
上川法務大臣は死刑執行後、午後0時45分に臨時の記者会見を開いた。上川大臣は「慎重な検討を重ねた上で執行命令を発した」と説明。再審請求中の死刑囚がいたかどうか記者に問われると「回答を差し控える」と答えた。
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