福島県は2日、小児甲状腺がんの患者などに医療費を助成する「甲状腺検査サポート事業」について、対象者を拡大する方向で要項を見直す方針を示した。佐藤保健福祉部長が県議会の福祉公安委員会で答弁した。
甲状腺サポート事業は、県の検査を受けて、甲状腺がんと診断された子どもたちなどを対象に、医療費の自己負担分を助成するもので、2016年7月にスタートした。しかし、事業の対象となるには、県が指定した「2次検査実施医療機関」を受診することが条件となっているため、実施機関の受診ができなかった子どもたちが対象から外されてきた。
こうした実態について、いわき市選出の古市三久議員が2月の議会で「同じ福島県民なのだから、2011年3月11日に福島県内にいた子どもは全て対象とすべき」と批判。要項の見直しを求めていた。さらに2日の委員会でも、再び進捗を質したところ、鈴木陽一県民健康調査課長は「国と協議を始めたところ」と説明。申請方法の簡素化も含め、速やかに要項を見直す方向で国と協議すると答弁した。また佐藤部長も「2~3ヶ月放置されたということで、問題の解決が先送りされたという指摘については真摯に反省し、国との協議は速やかに入っていきたい」と陳謝した。
県の電話相談に寄せられた質問
受診が困難な2次検査実施医療機関
サポート事業を受けるためには、福島県が指定している「2次検査実施医療機関」を必ず、計36機関に限定されている。避難者が多い新潟県や千葉県、神奈川県などに一つもなく、受診日程も自由に選ぶことができない。このため、はるばる福島県の病院に戻って受診する患者もいる一方、指定された機関の受診を断念し、サポート事業の対象外となっている患者も生じている。
環境省の梅田珠実環境保健部長は6月18日の「県民健康調査」検討委員会で、「2次検査実施医療機関」の受診を必須とする現在の対象者要件を緩和する必要があると指摘。対象者を広げることで、把握が難しくなっている診療情報を収集・活用できるようにすべきとの考えを示していた。