都心から電車とバスを乗り継ぎ2時間。街や民家から離れた陸の孤島のような場所に、退去命令が出された外国人を収容する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)がある。
アクリル板で仕切られた面会室で、約2年前に収容されたというフィリピン人男性は、「食事のスープに具がほとんどなく、サランラップが入っていた」と語り、食事や医療体制の改善を訴えた。
同センターで外国人の自殺や自殺未遂などが相次いでいるため、市民らが28日、処遇改善を求めて約1万7000筆の署名を提出した。
署名を集めたのは、入管に収容されている外国人の人権問題に取り組む市民ら。ツイッターで、#FREEUSHIKUというタグを使い署名を呼びかけ、1ヶ月で約1万7000筆を集めた。署名では、4月に同センターで自殺したディーパク・クマルさん(32歳・インド人男性)の経緯を明らかにすることや、外国人の長期の収容をやめること、医療体制を改善することなどを求めている。
この日は、署名を呼びかけた7人が同センターを訪れて、担当者に署名を提出した。
署名提出後、市民らは同センターの建物に向かって「入管は人権を守れ」「長期収容止めろ」と声を上げると、助けを求めるかのように収容されている外国人のものと見られる悲痛な叫び声が聞こえた。
ここ1年、入管に収容されている外国人を支援し、ブラジル人とイラン人男性と面会したという30代の男性は、ハンガーストライキを起こしても、同センターの対応が変わらないため、「もうどうしたらいいか分からない」という絶望した言葉を聞いたという。「いつまで収容されるのか分からないという不安で、精神を壊してしまっている」と長期収容が大きなストレスになっていることを感じたという。
収容者との面会を続け、支援活動を行う団体「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子さんによると、今月中旬に、収容中のブラジル人男性、カメルーン男性、クルド人男性3人が、それぞれ自殺未遂をはかったという。田中さんは「いつまで収容されているのか分からず、何もかも嫌になってしまったのではないか。嫌な気分が蔓延している」と危機感を強め、日本の収容政策を批判した。